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富士通のソフトウェア事業の現状とこれから

富士通は16日、報道関係者を対象に同社ソフトウェア事業の全体像を説明する戦略発表会を行った。また、発表会ではユーザビリティ向上のためのスマートテクノロジーや、ビッグデータ活用を支えるプラットフォーム、ハードウェアとソフトウェアを統合したアプライアンスなど、最近の取り組みについても紹介した。

現在のソフトウェアの現状

富士通株式会社 ソフトウェアビジネスグループ長 執行役員常務 山中明氏
富士通株式会社 
ソフトウェアビジネスグループ長 
執行役員常務 山中明氏

 「富士通の事業にとって非常に重要な分野だと考えて取り組んでいる。日頃は個々の製品についての発表が多く、全体像をお知らせする機会が少なかった」と開催の趣旨を述べた執行役員常務の山中明氏が始めに説明したのは富士通のソフトウェア事業の全体像だ。

 同社のソフトウェア事業は大きく3つに分かれる。まずは、ソリューション・SI分野。構築から運用までユーザー企業の情報システムのライフサイクルを一手に引き受ける。ソフトウェア事業の売り上げの大半を稼ぎ出す主力ビジネスだ。現在は、SOAやITILといった概念に基づいて体系的にポートフォリオを揃えることを重視しており、代表的な製品としてはInterStage、Systemwalker、Symfowareなどがある。

 次に、プラットフォームビジネス分野。サーバーやストレージなどのハードウェアを販売する際、付加価値を高めるために導入するソフトウェアを指す。現在のメインテーマは、サーバー、ストレージ、ネットワークなどのリソースを仮想化を使って統合的に管理すること。ServerView、ETERNUS SF、PRIMECLUSTERなどが代表的な製品となる。ハードウェアの売上を推進するための補助的な役割なので単価は高くないが、グローバルを含めて急速に数が増えている。

 最後に、クラウドサービス分野。クラウドサービスを実現するためのソフトウェアを指す。昨年10月からIaaSサービスを開始しており、現在はPaaSの品揃えを強化するべく重点的な投資を行っているという。Fujitsu Global Cloud Platform(FGCP/S5)、Fujitsu Global Cloud Platform FGCP/A5 Powered by Windows Azure(FGCP/A5)、CSPF、Cordysなどがある。

富士通株式会社 ミドルウェア事業本部長 新田将人氏
富士通株式会社 
ミドルウェア事業本部長 新田将人氏

 いずれの分野においても自社製品を中核に置きつつも、パートナー製品やオープンソース・ソフトウェアを組み合わせて、ユーザーのニーズに応えることを基本戦略としている。この背景には、海外大手ベンダーのように巨額の投資を行って自社製品を拡大させることは現実的には難しく、また効率的でもないという判断がある。

 国内での導入実績は12,000社(2007年~2010年)。アプリケーション・サーバー「Interstage」、運用管理ソフトウェア「Systemwalker」などは国内トップを競う。一方、海外での導入実績は2,100社(2007年~2010年)。Bank of America、UBSなど主要な顧客と取引実績を築いてはいるものの、「国内市場の10倍程度の規模があるにもかかわらず、海外市場の売上は1/10。今後は海外市場の拡大が富士通の大きなチャレンジになる」(山中氏)。

 今後、富士通はソフトウェア事業をどのように展開していくのだろうか。発表会では、「スマートテクノロジー」「イノベーション」「アプライアンス」という三つのキーワードでいくつかの取り組みが紹介された。それぞれ、簡単に概要を見ていこう。

次のページ
より使いやすいソフトウェアの追求~スマートテクノロジー

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