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第13回 データに天寿を全うさせる~情報ライフサイクル管理のお話(2)

  2008/06/13 14:01

天寿をまっとうさせるために

 最後にライフサイクルの終焉とも言えるデータの消去について触れてみたい。データやファイルには天から与えられた寿命は存在しない。人が残したいと望むなら、努力をすれば永久に保管し続けることは可能だ。しかし、余程のデータで無い限り、千年保持しておく必要があるデータは少ない。従って多くのデータにはそれなりの寿命があってしかるべきだ。

 例えば法的な制約により、そのファイルを10年保持したいと考えたとしよう。10年後にこのファイルは天寿を迎えることになるのだが、それを迎える前に事故死したり、突然死したりすることがあってはならない。人間の場合は残念ながら運命や宿命によって生涯の長さは幾分左右されるようだが、データの場合はきちんと運用を行っていれば、ほぼ間違いなくデータに天寿を全うさせることが出来る(図13-10)。

図10. 寿命が決まれば全うさせる
図10. 寿命が決まれば全うさせる

 前にも述べたが、10年経ったら消すということは、10年間は絶対に消してはいけないということを意味している。一般に保管状態になったファイルは更新されることは無い。従ってこのようなファイルは誤った更新や削除が行えないよう、Read Only状態で保管しておくほうが望ましい。Read Onlyで保管していたとしても、誰かが金槌でディスクやテープを粉々に砕いたら読める道理が無いので、普通のファイル同様、バックアップを別系統で保管しておくことも大切だ。

 データを消去する段階になったら、Read Onlyの状態を解除し、データを消せばよい。これら一連の処理を満了日処理と呼ぶ。満了日処理に必要な操作は、ほとんどが単純作業なので操作自体が技術的に難しいわけではない、しかし、大きなシステム環境ではほぼ毎日データを削除することになるので、単純作業が故に起こる人的作業ミスが懸念される。従ってアーカイブ用ソフトウェアなどを利用して、人の手を介さず自動的にファイルを移動させたり、削除させたりするようにしたほうが賢明であろう。

 老婆心かもしれないが、自動的に削除を行うような仕組みを取り入れた場合、システム時計の正確さには注意を払っておく方が良いだろう。個人が使うパソコンの時計が狂ってしまったとしてもあまり大きな影響は無いだろうが、自動的にファイルを削除するようなソフトが起動しているサーバーの場合、時計が大きく狂ってしまうと、意図せず重要なデータを消去してしまうという悲惨な状況も起こりえるためだ。

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著者プロフィール

  • 佐野 正和(サノ マサカズ)

    1986年日本アイ・ビー・エムの入社、本社SE技術部門で13年間ストレージ製品を中心に技術サポートを行なう。1999年にストレージ製品事業部に移り、以後、IBMストレージ製品の営業推進やソリューション推進、製品企画などの業務に携わる。現在、システム・ストレージ事業部でソリューション担当部長を拝任し、同社に17人いるシステムズ&テクノロジー・エバンジェリストの一人として各種講演活動も積極的に行なっている。

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