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システム担当者のための今さら聞けないストレージ再入門

データに天寿を全うさせる~情報ライフサイクル管理のお話(2)

第13回


不思議なものでデータを消すという行為は非常に大きなためらいを伴うものだ。特に多人数で利用する企業内のサーバーに至っては、誰もデータを消すことができないため、データは無限に増殖していくことになる。ディスクが有限である以上、データとの付き合い方を知っておくことは重要だ。今回はデータのライフサイクル管理についてお話する(前半はこちら)。

引越しの影響は大きい

 情報の価値に変化が起こったら、その価値に応じてデータの配置先を変更すれば済むのだが、このデータの配置先変更という操作は意外に難しい。多数の人間やプログラムがそれぞれデータの配置場所を意識して活動しており、その置き場所が変わってしまうと参照できなくなってしまうからだ(図13-6)。

図6. データを移動すると見つからなくなる
図6. データを移動すると見つからなくなる

 これは黙って引越しをされてしまうと、年賀状を届けられなくなってしまうのと同じだ。手紙の場合、住所移転届けを郵便局に届け出ていれば、一定期間郵便物を転送してくれる。データの引越しに際しても、このような仕組みがないとシステムに支障が発生することになる。

引越しが容易なDFSMS

 郵便物を転送してくれるように、データが移動しても問題なくアクセスが可能なシステム環境を実現しているのがIBMのホスト系OSであるz/OS環境で実現されるDFSMS(Data Facility Storage Management Subsystem)だ。DFSMSではデータ(ファイル)の置き場所をカタログという仕組みを使って管理している。

 カタログにはファイルが配置されている場所が記録されているので、カタログを見れば、目的のファイルのありかが突き止められる。このカタログを参照する、カタログに記録するという操作はOSの基本的な動作に含まれているので、データを移動させるユーティリティー・プログラムなども当然この作法に従ってデータを移動させる。故に何処にデータが移動しても、ユーザーがデータのありかが判らなくなるということはない。

 この他にもDFSMSではデータを圧縮してディスクに保管したり、テープへ移動させたりするような機能も備えている。テープ内に保管されているデータを参照しようとすると、そのデータは自動的にテープからディスクへ戻される。ユーザーはディスク内に戻ってきたデータにアクセスする仕組みだ。

 当然ながら保管期限の設定などもでき、保管期限を過ぎたデータは満了日処理として自動的に削除させるといった機能も備えている。DFSMSは「大切なものは大切な所へ、そうでないものはそれなりに、いらないものは処分する」という運用を実現したという点で、現存するストレージ管理システムの最高峰の地位にあると言える。

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この記事の著者

佐野 正和(サノ マサカズ)

1986年日本アイ・ビー・エムの入社、本社SE技術部門で13年間ストレージ製品を中心に技術サポートを行なう。1999年にストレージ製品事業部に移り、以後、IBMストレージ製品の営業推進やソリューション推進、製品企画などの業務に携わる。現在、システム・ストレージ事業部でソリューション担当部長を拝任し、...

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