このコラムもとうとう今回で最終回を迎えることとなった。今回は長期にデータを保管するという話題に触れてみたいと思う。社会的にデータを長期保管するニーズが高まっているものの、その手法は確立されていない。具体的にどのような点を考慮するべきかについてお話しする(後半はこちら)。
はじめに
このコラムもとうとう今回で最終回を迎えることとなった。最後は長期にデータを保管するという話題に触れてみたいと思う。
データを長期間にわたって保管するニーズが法規制を含め社会的に高まっている。しかし長期保管ための手法や運用形態には、確立された王道のようなものが存在しない。つまり未知の世界であると言ってよい。
特に今のコンピューター・システムにおいて主要プラットホームの坐にあるオープン系システムでは、データの長期保管などについてほとんど念頭におかずに運用してきたと言っても過言ではない。ひとことで長期と言っても、どの程度の期間を指すのか具体的に示される方は意外に少ない。
米国などではカルテなど医療情報を、その人物が死ぬまでは保持し続ける必要性が出てきているようだ。人の寿命が80年だとすると、生まれた子供のカルテは80年間保持しなければならないということになる。
ストレージの業界団体であるSNIAが実施した「100 Year Archive Requirements Survey」(PDF)に掲載されたアンケート調査において「最も長いデータの保管期間は何年ですか」というアンケートを行ったところ、「50年以上」と答えた割合は13%、「100年以上」と答えた割合は15%にとどまった。一方、「永久(Permanent)」と答えた方は実に53%にも達している。つまり半数以上の方がデータを永久に保管したいという願望を持っているらしい(図14-1)。

人は簡単に永久という言葉を使うが、永久とは文字どおり終りの無いこと、無限にデータを保持し続けることを指す。ここでは実際問題として永久にデータを保管するとはどういうことであるのかを考えてみたい。
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佐野 正和(サノ マサカズ)
1986年日本アイ・ビー・エムの入社、本社SE技術部門で13年間ストレージ製品を中心に技術サポートを行なう。1999年にストレージ製品事業部に移り、以後、IBMストレージ製品の営業推進やソリューション推進、製品企画などの業務に携わる。現在、システム・ストレージ事業部でソリューション担当部長を拝任し、...
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