SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

EnterpriseZine Day Special

2024年10月16日(火)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

システム担当者のための今さら聞けないストレージ再入門

千年の時を超えて~データの長期保管のお話(2)

第14回


このコラムもとうとう今回で最終回を迎えることとなった。今回は長期にデータを保管するという話題に触れてみたいと思う。社会的にデータを長期保管するニーズが高まっているものの、その手法は確立されていない。具体的にどのような点を考慮するべきかについてお話しする(前半はこちら)。

原本が大事か、内容が大事か

 データを長期に保管する場合、記録メディアや再生ドライブはもちろんのこと、データを読むためのソフトウェアも重要な要素となる。また、データの内容が大事なのか、それが原本であることが大事なのかによって、保管すべき形態は大きく異なる。内容重視の場合、単純にビット保存のような形でコピーを繰り返し、データのビット列をそのまま維持するような手法では、データ内容を後世に伝えていくことは残念ながら難しい。

 例えば、かつてDOS文書プログラムという名のIBM製の日本語ワープロ・ソフトがあったが、このフォーマットで書かれた文書ファイルを再生するソフトは現存しない。故にこのワープロの文書ファイルを後生大事にパソコンのハードディスクに保管してあったとしても、今となっては何の使い道もないのである。これと同じようなことがワープロ専用機で作った文書ファイルにも当てはまる。そのワープロが使えなくなった時点で、これらの文書ファイルは再生不可能なデータとなってしまう。

 故にデータの内容が後世に伝えたいと思うようなものである場合、源氏物語のようにデータ形式を常に新しく変化させて保管していく必要がある。テキスト・ファイルで持っていれば大丈夫と考える方もきっとおられると思うが、前述のように文字コードセットや文字そのものが変化してしまう可能性がある。ディスプレイに表示されている化けた文字を見て、未来人が「何だコリャ?」と首をかしげる可能性もあるわけだ。かのチャールズ・ダーウィンも次のような言葉を述べている。

  「最も強い者が生き残るのではなく、

   最も賢い者が生き延びるわけでもない。

   唯一生き残るのは、変化できる者である」

 一方、現在の状態を維持したまま保管することが重要な場合もある。芸術作品や電子帳票などでタイムスタンプが記録された文書などがこれに当たる。例えば電子帳票の場合、データ形式を変更してしまうと、原本を証明するタイムスタンプ情報が欠落してしまう可能性があるため、データ・フォーマットの変更は困難だ。また、コンピューター上で表現された芸術作品の場合、線や点の動きや表示のタイミング、色合い、解像度なども課題となるだろう。

 このような性質のものについては、データを再生する環境を維持していくことに注力を払わなければならない。具体的に言えば再生用ソフトが使える環境を維持したり、そのソフトが動かないのであれば、新しくソフトウェアを作り直したりしてでも、元のデータをそのまま再生できる環境を維持する努力をしなければならない。

次のページ
骨董品は箱書きが大事

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
システム担当者のための今さら聞けないストレージ再入門連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

佐野 正和(サノ マサカズ)

1986年日本アイ・ビー・エムの入社、本社SE技術部門で13年間ストレージ製品を中心に技術サポートを行なう。1999年にストレージ製品事業部に移り、以後、IBMストレージ製品の営業推進やソリューション推進、製品企画などの業務に携わる。現在、システム・ストレージ事業部でソリューション担当部長を拝任し、...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/537 2008/07/03 18:51

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング