ハード、ソフトの購入先選定は「価格優先」と「サポート重視」にわかれる
国内SMBユーザー調査において、サーバー、PCといったハードウェア、およびパッケージソフトウェアの導入状況の調査結果を見た場合、SMBでは購入先選定の理由として「価格」を挙げる企業が最も多くなっている。ただし、購入経路によって、選択理由の優先項目の傾向は異なっており、「ハードウェアベンダー(営業担当者)」「販売代理店」「小売店/量販店」を選択した企業では、「価格が安い」を挙げる企業が最も多くなっている。
一方で、「SIer」では、「保守運用が優れる」または「導入のサポートが充実」を挙げる企業が多くなっており、これらの購入経路を選択した企業では、価格の安さも重視しながら、並行して導入、運用のサポートも重視しているとみている。このように、SMBにおいて、ハードウェアの低価格化が進む中で、導入、運用のサポートを拡充させ、他のチャネルとの「差別化」を図ることも有効とみている。
SMBでは第3のプラットフォーム関連などのソリューションの展開が本格化
大手国内ベンダー/外資系ベンダーでは、SMB向けビジネスの強化のため、営業体制の整備、製品/ソリューションの強化を積極的に行っている。特にこれまでSMBでは活用が遅れていた第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)、およびイノベーションアクセラレーター(IoT、コグニティブ/AIシステムなど)関連のソリューションの展開が本格化しており、地場の販売代理店/SIerにおいても取り扱いの動きが始まっている。
ただし、大都市圏以外の地域ではSMBのITニーズの低迷などの要因から地域戦略の見直しに迫られるケースもある一方で、さらなる需要掘り起こしのために体制強化を図るベンダーもあり、パートナー企業へのサポートの在り方がさらに重要になるとみている。
国内SMB IT市場では、既存システム刷新案件がハードウェア低価格化、クラウドシフトなどの要因から小規模化している一方で、コグニティブ/AIシステム、IoTといったソリューション活用における新しいニーズが高まりつつある。IDC Japan ITスペンディング リサーチマネージャーの市村仁氏は「ITサプライヤーは、既存ビジネスの見直しを行うと同時にSMBのニーズに対応するために新しいビジネスモデルの構築が求められている」と分析している。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「2017年 国内SMB IT市場 ベンダーにおける地域戦略の分析」にその詳細が報告されている。レポートでは、2017年2月末に実施した国内SMBユーザー調査結果を基に、ハードウェア(サーバー、PC)、並びにパッケージソフトウェアの利用動向を分析しているほか、主要ベンダー、SIerなどへのヒヤリング調査結果から、SMB向けビジネスの動向と今後の展望に関して分析している。特に大都市圏以外の地域におけるビジネス動向と今後の計画について重点的に調査している。