IDCでは、情報サービス業と中央官庁/地方自治体を除くグループ連結従業員数300人以上の国内企業のうち、DXに取り組む企業で働くマネージャークラス以上の558人に対するアンケート調査と、6社に対する直接取材を実施した。今回の調査では、DXに取り組む組織として「社長直轄等の専任部門または専任子会社」を「第2のIT部門」と想定し、その他「組織横断プロジェクト」「事業部門」「企画部門」「情報システム部門」など詳細な組織形態に分類して、DXの中核組織とその特徴について調査した。
「第2のIT部門」を設置した企業はトップのビジョン発信とCDO設置率も高い
これによると、DXに取り組む国内企業のうち「第2のIT部門」が中核となって取り組むとする企業が27.9%に上り、第1のIT部門である「情報システム部門」を中核する企業の13.1%を大幅に上回った。これらの企業において、「既存事業とは独立してデジタル化に取り組み、新たな事業の創出を目指している」という回答は、「第2のIT部門」を中核とする企業で31.4%、「情報システム部門」を中核とする企業では6.9%だった。
また、「第2のIT部門」を設置した企業は、企業トップのビジョン発信とチーフデジタルオフィサー(CDO:Chief Digital Officer)の設置の比率も高く、大胆なイノベーションを目指す姿勢が顕著にみられた。
DXの取り組みにおけるKPI(Key Performance Indicator:主要業績評価指標)は、「情報システム部門」が業務の効率化やリードタイムに重点を置くことに比べ、「第2のIT部門」を設置した企業では、「協業や連携企業数」「新事業の構築数」「新事業の売上高/売上比率」を上位の目標に選定しており新事業への強い志向がみられた。
DXの取り組みでは人材の確保が大きな課題となっている
一方、DXの取り組みで最大の課題とされたのが、社外からの人材採用だった。国内のIT人材数がITベンダーに大きく偏っていること、DX人材についても日本の人材流動性が低いことから、最適なスキルを持つ人材の確保が大きな課題となっているとIDCでは分析している。
IDCは、ITベンダーに対して、顧客との共創型デジタルプロジェクトを実施してビジネス知見を蓄積すると同時に、顧客へのアウトソーシングサービスとDX人材の育成プログラムを実施して顧客を支援すべきと提言している。また、単独では難しい先端技術の獲得では、豊富なベンチャーキャピタル投資によって技術革新の進むスタートアップ企業に対し、投資/買収などの手段で強固なパートナーシップを築きあげておく必要があると指摘している。
IDC Japan ITサービス リサーチマネージャーである國土順一氏は、「国内企業のDXの取り組みは、後半戦へと突入した。ITベンダーは、顧客と共に共創型デジタルプロジェクトを推進しながら、あらゆる手段を用いて自身のDXへの適応力と技術力を高め、顧客のデジタル変革における真のパートナーとなるべきである」と述べている。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「2018年 国内企業における「第2のIT部門」の状況」にその詳細が報告されている。