IDCでは、従業員数100人以上の企業で働く経営層、IT部門の従業員、および工場や販売といった現場以外の部門に勤務する従業員(オフィスワーカー)に対してアンケート調査を実施した。今回の調査では、IDCが主にオフィスにおける働き方改革に貢献すると判断したICTソリューションを中心に、導入/利用状況とソリューションの評価、また今後の導入予定について質問している。
また、IDCが働き方改革の進行程度を示す指標の1つと考える、テレワークの利用状況と評価についても分析している。調査結果について従業員のデータを中心に分析し、ツールの導入状況についてはIT部門のデータの分析を、また今後の導入予定については経営層のデータの分析を加えている。
今後も使用したいツールはPCモニター(ノートPCに接続)とビジネスチャット
これによると、導入率の高いツールは、上位から「旅費/経費精算」「勤怠管理」「ワークフロー」となった。大企業においては、リモートアクセスや会議システムの導入も進んでいる。部署や職務内容を問わず利用されるため、社内に広く導入効果が期待できるツールが優先して導入されていると考えられる。
従業員が現在使っていて今後も使用したいツールとしては、PCモニター(ノートブックPCに接続)(74.0%)、ビジネスチャット(73.8%)が3位を僅差で抑えてトップ2にランクするという予想外な結果となった。PCモニターとビジネスチャットの利用率は低めですが、実際に使用するとビジネスの必須アイテムとなるツールであることが判明した。
テレワーク導入率は大企業で50.0%、中堅企業は22.5%と企業規模による格差
テレワークを実際に体験した従業員は、時間が有効利用できることを評価している一方で、社内ネットワークへのアクセスの制限やコミュニケーションが十分/タイムリーに取れないといったことを問題として挙げている。さらに、大企業での導入率は50.0%、中堅企業は22.5%と、企業規模による格差があることがわかった。
また、調査の回答者自身の体験率は企業での導入率をかなり下回っており、テレワークを導入している企業においても実際に利用する従業員(オフィスワーカー)は一部に留まっているという実態が明らかになっている。
IDC Japan PC, 携帯端末&クライアントソリューション グループマネージャーの市川和子氏は、「働き方改革は、日本経済の好調と政府の音頭取りなどの追い風が吹いている。残業規制法案は大企業では2019年4月から適用が開始される。テレワークの施策も2020年をターゲットとして動いている。また、2020年以降の経済の状況に不透明感があることを考えると、ITサプライヤーはこの2年を念頭に、クライントの潜在需要も含めた需要の的確な把握と提案力でビジネスの刈り取りに邁進すべきである」とコメントしている。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「2018年 国内働き方改革動向分析:従業員から見た評価と課題」にその詳細が報告されている。