この調査は、IDCが毎年行っているグローバルビジネスリーダー調査の一環で、世界27か国でDXに取り組んでいるビジネスリーダー1,987名に対してアンケート形式で行われた。このうち、国内の回答者数は150名だった。
調査内容は、DXの推進状況、組織、課題、KPIなど多岐にわたるが、この中で、北米、西欧、日本、日本を除くアジア地域について、デジタルイニシアティブの地域差がある5つの項目を特定した。
それらは、戦略、緊急度、予算化の施策、予算を負担する組織、目標の優先度だった。調査では、この5項目について定量的な差異を示すとともに、各地域のアナリストが、データの背景にある地域差の要因を補完する調査から考察を加えた。
北米だけがデジタルネイティブの割合が52.5%と過半数を超える
企業や組織が複数のDXプロジェクトに対して統一的な戦略の下で長期的に推進しているデジタルネイティブ企業であるか、複数のDXプロジェクトが連携せずにばらばらに推進されていて、短期的な成果を追求しているデジタルサイロなのかを聞いたところ、北米だけが、デジタルネイティブの割合が52.5%と過半数を超え、西欧42.2%、日本42.0%、日本を除くアジア39.5%の順となった。
北米以外の地域でデジタルネイティブが少ない理由は、異なっていることがわかった。西欧は、企業の保守性が根底にあり、日本を除くアジアでは企業成長に伴いデリバリーのスピードが追いついておらず短期的な戦略になっていることが原因で、日本ではまだDXに取り組んでいる企業が6割と他の地域よりも少なくDX推進組織の設置割合も27.9%と低いことが原因とIDCではみている。
また、DXを成功させることにどれだけCEOがプレッシャーを感じながら取り組んでいるかを聞いたところ、北米では70.9%のCEOがプレッシャーを感じていたのに対して、日本や日本を除くアジアでは50%以下とCEOが感じている緊急度が低いことがわかった。
地域格差の理由を理解することはITサプライヤーにとって大変重要
「IDC MaturityScape Benchmarkのデータによれば、地域ごとにデジタルジャーニーの推進速度が異なることがわかった」と、米国IDC IT エグゼクティブ、産業、ソフトウェア、サービス部門 シニアバイスプレジデント メレディス・ウェレン氏は述べている。
さらに続けて「IDCが最近行ったグローバルサーベイは、調査に当たな次元の知見をもたらしている。デジタルイニシアティブの推進が地域によってどのように異なるかを見ることができる。ITサプライヤーにとって、どこにその違いがあるのかを理解することは、DX顧客とのパートナーシップの構築と長期的な成功にとって大変重要である」と分析している。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「デジタルトランスフォーメーション(DX)イニシアティブにおける世界の地域差に関する5つの考察」にその詳細が報告されている。