パブリッククラウド利用企業の68.2%が導入時にネットワークの何らかの変更を実施
今回の調査から、パブリッククラウドサービスの利用が、企業ネットワークを見直す重要な機会になっていることが明らかになった。
パブリッククラウドを利用している企業の68.2%は、導入時に何らかのネットワークの変更を行っていて、インターネット接続環境の見直しだけでなく、クラウド利用と直接的な関係が薄いLANの見直しも3分の1の企業が実施していることが分かった。また、パブリッククラウドの利用においては、ネットワークの速度とゲートウェイ機器の負荷増加が共通する課題になっていることも明らかになった。
さらに、パブリッククラウドの利用は、企業のインターネットトラフィックの増加にも関係していることがあらためて分かった。1年前と比べてインターネットラフィックが増加している企業の割合は、パブリッククラウドを利用していない企業では37.2%に留まっているのに対して、SaaS(Software as a Service)利用企業ではその割合は74.1%にまで達している。
また、インターネット接続環境の見直しに関する取り組みでは、追加コストの少ないゲートウェイの設定見直しを行う企業が最も多く、30%弱の企業がルーター、ファイアウォールのリプレイスをしていることも分かった。一方で、新しい対策と言えるIPv4 over IPv6は、調査時点では8%程度に留まっている。
無線LANの利用拡大が続き、3年後には従業員の45.4%が無線LANを利用
企業ネットワークにおいて、無線LANの存在感が高まっていることも明らかになった。新規に無線LANを導入する企業は頭打ちになりつつあるものの、1年前からアクセスポイントを増やした企業は40%近く存在している。
家庭での無線LAN利用経験が増す中で、従業員からのボトムアップによる導入の要望も、無線LAN環境整備の推進力になっている。今後も利用拡大は続く見通しで、3年後には平均で45.4%の従業員が無線LANを利用しているという結果も出ている。
企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた取り組みを進める中で、経営層の自社ネットワークに対する要求はいっそう厳しくなり、企業ネットワークには変革が強く求められているとIDCでは考えている。一方で、本調査ではネットワーク管理者の60.1%は、現状で経営者や事業部門の要求に応えられていると考えていることも明らかになった。
IDC Japan コミュニケーションズ グループマネージャーの草野賢一氏は、「企業のネットワーク管理者は、現状に満足することなく、経営層や事業部門の要求に対して敏感であるべきである。ネットワークの運用効率化や迅速性向上を図り、DX実現に向けた経営層や事業部門の要求に十分に備えておく必要がある」と述べている。
今回の発表は、IDCが発行した「2018年 国内ネットワーク機器市場 企業ユーザー調査」にその詳細が報告されている。レポートでは、無線LANの利用動向やクラウド管理型ソリューションの受容性、企業ネットワークの変化とレガシーマイグレーションに加えて、産業用ネットワークやIoT(Internet of Things)ネットワークの利用動向についても分析している。
また、「IDC Survey Spotlight:2018年 国内ネットワーク機器市場 企業ユーザー調査」では、国内企業のネットワーク管理者におけるネットワーク機器ベンダーの認知状況を分析している。