アクセンチュアインタラクティブが調査会社のフォレスターに委託してまとめたグローバル調査レポート「CMOの役割の再考(Rethink the Role of the CMO)」によると、CXは現代の企業にとって新たな戦いの場となっており、調査対象企業の約87%が、従来型の体験では顧客を満足させることができないと回答している。
こうした環境の変化により、CMOの役割は従来型のブランド広告やコミュニケーションの枠を超えて、ビジネスの成功につながる顧客体験の実現計画の推進にまで拡大しているという。フォレスターによる過去の調査では、CXスコアが1ポイント上昇すると、年間収益が1,000万~1億ドル増加することが明らかになっており、CXは企業の利益拡大を促すことが証明されているという。
調査レポートによると、企業の88%が、過去2年間でCMOの職域が変化しており、その傾向は今後2年間も続くと考えている。優れたCXの提供を推進するには、CMOがこの新たな複合的な役割を受け入れ、CMOコラボレーターとして常に考え、行動する必要がある。
調査レポートには、次のように記されている。「CMOコラボレーターは今こそ、企業全体でCXをいかに形成し、提供していくかという重要課題に大きな力を発揮するべきです。世界トップレベルの体験を提供するには、企業全体を巻き込んだこれまでにないコラボレーションが必須となります。今や企業の90%が、CMOにはさまざまな事業部門をつなぐ役割があると認識しています」。
CMOコラボレーターと従来型マーケターの違い
調査レポートでは、CMOコラボレーターの役割を「チームに企業、部門、場所の枠を超えて行動するよう促すとともに、事業部門間のコラボレーションを促進する新たな文化を醸成する人物」と定義している。
このコラボレーションリーダーと従来型マーケターとの大きな違いは、社外パートナーと内部チームをまとめ、協力させるという点にある。コラボレーションリーダーによって、組織全体がブランドのビジョンにあわせて連携できるようになり、またCX戦略をビジョンの実現のために調整できるようになる。
調査では次の点が明らかになっている。
・自社の顧客体験が競合企業よりも勝っていると回答したコラボレーションリーダーは95%、従来型マーケターはわずか68%
・コラボレーションリーダーがCレベルの経営幹部らをつなぎ、経営陣レベルでコラボレーションを行う可能性は、従来型マーケターの2倍
・コラボレーションリーダーを擁する企業の90%が、顧客体験戦略を実行できる体制にある
・従来型マーケターがCEOからトップダウンの支援が得られず苦労する可能性は、コラボレーションリーダーの2倍以上
ブランド構築に欠かせないCX
デジタル技術により相互につながる今日の世界では、ブランド体験が分断されてしまう恐れが高まる。自社のブランドで体験に関するビジョンを明確に定義していると回答したマーケターは、わずか36%にとどまっている。さらに、以下の点も判明している。
・顧客体験を全社で共有し、その実現のために連携していると回答したコラボレーションリーダーは95%、従来型マーケターはわずか68%
・知見に基づく共感的な関係を顧客と築いているコラボレーションリーダーは81%、従来型マーケターはわずか53%
・自社が顧客の期待に応えていると回答したコラボレーションリーダーは96%、従来型マーケターは77%
・コラボレーションリーダーを擁する企業の69%が、自由な創造性と溢れ出るアイデアから恩恵を受けて、顧客体験に「感動」をもたらしていると回答
従業員、テクノロジーパートナー、代理店パートナーのコラボレーションの必要性
マーケティング部門が、状況に適した、関連性の高い、パーソナライズされたCXを提供するには、テクノロジーに大きく依存することになる。現在、マーケティング テクノロジーの購入決定の実に50%が、マーケティング部門以外で下されている。CMOは、複数のチャネル、事業部門、地域に影響するツールの採用の意思決定において、主要な役割を果たす必要がある。
さらに約52%の企業が、自社のCMOが代理店とチーム間のコラボレーションを必要としていると回答している。先進性をもつCMOコラボレーターは、競合の一歩先を行くにはパートナーシップが不可欠であることを認識している。
コラボレーションリーダーの83%が、こうした戦略を拡大中、またはすでに導入しているが、従来型マーケターでは60%に留まっている。実際、コラボレーションリーダーの91%が、社外の協力者が顧客体験戦略の重要な役割を担っていると考えている。