「Insight Database Testing V1.0」は、多くの企業で課題となっていたRDBMSの移行時におけるSQL(アプリケーションから発行されるSQL)の書き換えに要する作業コストの削減を実現するという。
デジタルトランスフォーメンション(DX)を実現するためには、さまざまな種類のデータベース、ハードウェア、クラウドを組み合わせてモダナイズされたプラットフォームの構築が必要であるといわれている。多くの企業は、クラウドによってモダナイズされたプラットフォームへ移行することを志向しているという。
しかし、クラウドにシステムを移行した企業でもリフト&シフトにとどまっている。その結果、例えば、AWSに移行したとしても、Amazon AuroraのようなクラウドネイティブなRDBMSを利用できないで、オンプレミスで利用していたRDBMSをそのまま利用している場合が見受けられるという。
クラウドネイティブなRDBMSの移行が難しい理由としては、単にデータを移行するだけでなく、SQLの書き換えが必要である点が挙げられる。
SQLの書き換えには多くの作業コスト(時間、人的リソース、高度なスキルと経験)が必要となるが、さらに、最近のアプリケーションでは、SQLは動的に生成されるので、ドキュメントやコードを見ても、実際のSQLは確認できず、事前に作業コストを予測できないという課題があった。
「Insight Database Testing」は、これまで人手に頼ってきた作業をツールに置き換えることで作業コストの削減を可能にし、企業システムのクラウドネイティブ化を促進するとしている。
「Insight Database Testing」は、インサイトテクノロジーがこれまで多くの企業に提供してきた、データベース移行コンサルティングの経験と「PISO」での製品開発で得たDirect Memory Accessによる低負荷での情報取得技術などのInsightを活かし、異なるRDBMS製品間、異なるRDBMSバージョン間での移行アセスメントとテストを自動化するという。
■ユースケース
オンプレミス環境での商用RDBMSからAWS上のクラウドネイティブなRDBMS環境に移行する場合の例を示す。 移行には、以下のようなAWSのサービスやツールとInsight Database Testingを組み合わせて利用することができる。
- Amazon Aurora(PostgreSQL 互換エディション)
- AWS Database Migration Service
- AWS Schema Conversion Tool
1:アセスメントフェーズ
一般にオンプレミスでは、アセスメント環境の構築には1か月程度の期間を要するが、AWSであれば、1日程度で構築できる。
これは、Amazon AuroraがAmazon Relational Database Service(Amazon RDS)であるので、数分でデプロイできるだけでなくAWS Schema Conversion Toolを使用して商用RDBMSからAmazon Auroraのスキーマに変換し、その後、AWS Database Migration Serviceを使用してデータを移行させることが可能だからだ。
そして、環境を構築した後にInsight Database Testingを利用することで、簡単に不適合なSQLを発見することができる。
2:マイグレーションフェーズ
Insight Database TestingとAWS Schema Conversion Toolを連携することで、不適合なSQLの大部分を自動修正化できる。
このように、Insight Database TestingとAWSのサービスを組み合わせることで、短期間かつ低コストで効率的にクラウドネイティブなRDBMSへの移行が可能となり、企業はデジタルトランスフォーメンション(DX)を推進することができる。