2018年は2017年の急成長期から安定成長に移行した
発表によると、データセンター、企業ネットワーク、通信事業者向けを合計した国内ネットワーク仮想化/自動化市場は、2018年の564億円市場から、2023年にかけて年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)16.5%で拡大を続けると予測している。
適用領域別にみると、ネットワーク仮想化/自動化が最も進んでいるデータセンターネットワーク仮想化/自動化市場は、OpenFlowで始まったSDNブームを超克し、もはや「キャズム」を越えたと言える。同市場の2018年の前年比成長率は、2017年の82.3%から13.9%に落ち着き、急成長期から安定成長に移行していることが明らかになった。
導入側でのSDNやネットワーク仮想化/自動化に対する正しい認知の定着と評価が進んだことがその理由になる。ネットワークの自動化と仮想化は、これからのITプラットフォームには不可欠。そのため、成長のペースは落としながらも、データセンターネットワーク仮想化/自動化市場は、2018年~2023年のCAGRは9.7%と、安定した成長を続けるとIDCではみている。
次世代企業ネットワーク仮想化/自動化ソリューションが市場を牽引
企業内のLANにおける仮想化/自動化は、2018年に大きな転換点を迎えた。OpenFlowに端を発した企業ネットワークSDNは、もはや仮想化/自動化技術の中心ではなく、それに代わって「継続的/再帰的なネットワーク自動化」「ポリシー/インテントに基づいたネットワーキング」「ネットワーク可視化/アシュアランス」を備えた次世代企業ネットワーク仮想化/自動化ソリューションが市場を牽引している。
こうした背景には、ネットワーク接続端末の爆発的増加への備えと、デジタルトランスフォーメーション(DX)に適応した企業ネットワークの希求があるとIDCでは捉えている。このような成長エンジンを得た企業ネットワーク仮想化/自動化市場は、力強い成長を続け、2018年~2023年のCAGRは14.1%と見込んでいる。
国内ネットワーク仮想化/自動化市場が、SDNが目指したネットワークの本質がネットワーク自動化/自律化にあると見極め、それに邁進する中で、「ネットワーク自動化は、何か1つのソリューションを入れて完結するのではなく、自動化の範囲を広げながらそのレベルを継続的に高めていくものである。自動化レベル向上には、ベンダーがソリューションを供給するだけでは持続せず、ユーザー企業の自発的なネットワーク自動化の進化を促すことが必要である」とIDC Japan コミュニケーションズのグループマネージャーである草野賢一氏は述べている。
今回の発表は、IDCが発行した「国内ネットワーク仮想化/自動化市場予測、2019年~ 2023年:SDN、NFVから自動化/自律化へ」にその詳細が報告されている。レポートでは、データセンター、企業ネットワークにおける国内ネットワーク仮想化/自動化市場に加えて、通信事業者のネットワーク仮想化/自動化に関する分析と市場予測も行っている。また、通信事業者のネットワーク機能の仮想化であるキャリアNFV(Network Functions Virtualization)市場についても分析している。