今後、「データ駆動型ビジネス/DX」に対する投資は急速に拡大
国内エンタープライズIT市場では、クラウドファースト戦略を実行するユーザー企業が増加している。また、パブリッククラウドやホステッドプライベートクラウドを提供するために、サービスプロバイダーによる積極的な投資が継続している。
これらのことから、国内エンタープライズIT市場に占めるクラウド関連の売上額割合は、20.2%(2018年)から54.4%(2023年)になるとIDCは予測している。
現在、国内市場ではデジタルトランスフォーメーション(DX)に対する関心が高まっている。しかし、現在の市場規模は限定的であり、その多くがデジタルサービス(主に一般消費者向けWeb/モバイルサービス)を提供するネット系企業の投資や、これらのIT基盤を提供するサービスプロバイダーの投資となっている。
一方、企業におけるデータ駆動型ビジネスを実現するための投資は堅調に増加している。今後、企業の「データ駆動型ビジネス/DX」に対する投資は、急速に拡大し、国内エンタープライズIT市場の成長を促進する重要な要因になるとIDCはみている。
ベンダーはソリューション提供ではなく、ビジョンの共有とコミットメントなどが重要
国内エンタープライズIT市場では、ハイブリッド/マルチクラウド時代を迎え、ベンダー間の提携および競合環境は変化している。また、データ駆動型ビジネス/DXの支援がベンダーの競争力強化に欠かせない要素となっている。
IDC Japan ITサービスのリサーチディレクターである松本聡氏は、「ベンダーがユーザー企業のDX支援を競争力として強化するためには、ソリューションの提供ではなく、ビジョンの共有とコミットメント、クラウドネイティブにおけるエコシステムの強化、サブスクリプションビジネスへの対応が重要である」と述べている。
今回の発表は、IDCが発行した「国内エンタープライズIT市場予測、2019年~2023年」にその詳細が報告されている。レポートでは、国内エンタープライズIT市場を「従来型IT」と「クラウド:リプレイスメント/効率化」「クラウド:データ駆動型ビジネス/DX」」に区分して、従来型ITからクラウドへの移行動向や、DXが国内クラウド市場に与える影響を分析し、セグメント別に2019年~2023年の市場予測をまとめている。