アクセンチュアでは、日本を含む世界の大企業に所属する約1,000人のCMOおよび500人以上の最高経営責任者(CEO)を対象に調査を行った。調査レポート「マーケティングの枠を超えて――ハイパーレリバントなCMOの台頭(Way Beyond Marketing — The Rise of The Hyper-Relevant CMO)」によると、調査対象となったCMOの17%が、顧客体験を起点にした組織変革を主導していることが分かった。
こうした先進的なCMOは、優れた顧客体験を実現するための組織間コラボレーションを促すことで、変わりゆく顧客ニーズにすばやく対応できる体制づくりに貢献している。
アクセンチュアのカスタマー・インサイト&グロース事業を率いるジョン・ジーリー氏は、次のように述べている。
「先見の明を持つCMOは、顧客体験の再創造に取り組むことで差別化を図っています。従来の組織構造のあり方に疑問を投げかけ、イノベーションと破壊的成長を主導すると同時に、経営幹部間のコラボレーションを促すことで、新たな価値創出に挑んでいます。アクセンチュアでは、変わりゆく顧客ニーズを継続的に予測し、それらにすばやく対応しながらビジネス価値を生み続けていく企業をリビング・ビジネスと呼んでいます。リビング・ビジネスへの変革には先進的なCMOの存在が欠かせません」。
■成長のけん引役としてのマーケター
調査対象となったCEOの31%が、「CMOに対して、顧客データやそこから得られる洞察を活用して新しい製品やサービス、体験を生み出し、企業の成長を促すことを期待している」と答えている。
今回の調査により、先進的な考えを持つ17%のCMOは、顧客第一の企業文化を浸透させるために、他の経営幹部と積極的に連携していることが明らかになった。また、こうしたCMOは、競合他社に比べて破壊的成長を促す取り組みにより多くの時間を割く傾向にあり、自らを「イノベーター」と称し、新興技術を利用して、顧客行動の予測と潜在的な収益源の開拓に注力している。
北米のアクセンチュア インタラクティブの責任者であるグレン・ハートマン氏は、次のように述べている。
「デジタル革命によって、企業と顧客の距離がこれまで以上に縮まった一方で、大企業の多くが成長の機会をうまく活用できずにいます。目まぐるしく変化する顧客ニーズを予測し、それらに迅速に対応できる真のリビング・ビジネスを実現させるためには、顧客の目標達成を第一に考えた上で、1人ひとりに寄り添った体験をデザインするための俊敏性を組織・部門横断で設計する必要があります」。
■明確な目標表明こそが利益の源泉
消費者が自らの価値観や信条に合った、明確な目標を持つブランドの商品やサービスを購入する傾向が高まる中、先進的なCMOは、顧客の生活と深く関連を持つことを重要視している。
今回の調査で、76%のCMOが「ブランドの目標に対する消費者の期待が高まっている」と答えている。同様に、70%のCEOが「大きな目標を表明している企業の方が、より大きな成功を手にする」と答えている。
■成長を促す新たなスキル
マーケターの役割が大きく変化する中、CEOとCMOの大多数(90%)が、「今後3年間でマーケティングの機能は根本的に変わるだろう」と答えている。中でも、先進的なCMOは、他のCMOに比べて、没入型体験のデザイナー、ストーリーテラー、グロースハッカー(企業成長の仕掛け人)、フューチャロロジスト(未来学者)といった役割やスキルがさらなる成長に必要だと考える割合が高い結果となった。
アクセンチュアのカスタマー・インサイト&グロース部門でマネジング・ディレクター兼マーケティング・プラクティス・リードを務めるマイリ・マキューアン氏は、次のように述べている。
「成長を促すために、あらゆる顧客接点において、効果的でまとまりのある体験を迅速かつ大規模に生み出していくことが、CMOに求められています。CMOが取るべきアクションは、主に次の4つがあります。顧客から得られた洞察とアナリティクスを組み合わせて将来像を形作ること、従業員や組織のマーケティング力および販売力を高めること、パートナーシップを利用して革新的な製品やサービス、ソリューションを生み出すこと、コスト効率の高い技術を使って拡張可能かつパーソナライズできるマーケティング・プログラムを実行することです」。