レッドハット・リナックス社は12日、同社の新仮想化戦略の発表会を開催した。去る2月23日に米国で発表された新戦略とロードマップをベースとして、国内における同社の方針などについて、マーケティング本部長の中井雅也氏が説明を行った。
昨今の経済不況の中で、IT投資に対する企業の考え方は変化してきている。「これまで基本的にIT投資は右肩上がりの成長を想定した計画がなされてきた。しかし、昨今の経済不況下においては、必ずしも数年後に事業が拡大しているとは限らない。これまでの『ROI(Return On Investment)』から、『ROI(Reduction On Investment)』へと考え方が移ってきているのではないか」(レッドハット株式会社 マーケティング本部 部長 中井雅也氏)。
このような背景にあって、同社の新戦略では、仮想化を中心としたオープンソース製品群による徹底したコストダウンを提案する。レッドハットは、昨年9月に米Qumranet社を買収。Qumranet社が持つハイパーバイザー「KVM」や、仮想化デスクトップインフラストラクチャ(VDI)「SolidICE」といった仮想化技術を入手した。今後、同社ではこれらをベースに新製品の開発を進めていく計画だ。
「仮想デスクトップにおける独自通信プロトコルSPICEは、軽量かつ高速に高品質なデータ転送を行うことができる点が特徴。マルチメディア機能やユーザビリティという面でひとつのポイントになっている。KVMについても、他の製品よりもスケーラビリティで強みがある。アーキテクチャ的な面が主な差別化ポイントになると思う」(中井氏)
今後は、KVMを標準でカーネルに統合した「Red Hat Enterprise Linux」、サーバ向け仮想化管理ソリューション「Red Hat Enterprise Virtualization Manager for Servers」、デスクトップ仮想化ソリューション「Red Hat Enterprise Virtualization Manager for Desktops」、スタンドアロンのハイパーバイザ「Red Hat Enterprise Virtualization Hypervisor」の4製品で仮想化ポートフォリオを構成。2009年の半ばから順次リリースしていく予定だ。