東芝デジタルソリューションズは、7月9日、異なる企業による車載システムの共同デジタル試作が可能な「分散・連成シミュレーションプラットフォーム」(VenetDCP)の販売を開始した。
「VenetDCP」は、自動運転や先進安全システムといった大規模で複雑な車載システムの開発において、自動車メーカーと部品サプライヤーが分散して保有するモデルとシミュレーションツール同士をサイバー空間上でつないで連成する。開発の初期段階からシミュレーションを繰り返し実施できるようにして、設計の手戻り作業の削減、品質の改善、生産性の向上を実現する。
米マスワークのMATLAB/Simulinkなど、車載システム開発で使われる多くのシミュレーションツールをつなぐことが可能である。異種のシミュレーションツールの間でモデルを相互利用するための世界標準規格であるFMI(Functional Mock-up Interface)に準拠しており、ツール間接続の親和性が高く、大規模な分散・連成シミュレーションを実施できる。
なお、東芝デジタルソリューションズは、企業間でのモデルの流通と連成シミュレーション活用の仕組みやプロセスの標準化活動団体である、ドイツのprostep ivip associationに加盟した。2018年4月に経済産業省が発表した「SURIAWASE2.0の深化」にも賛同し、活動に協力していく。これらの活動を通して、自動車メーカーと部品サプライヤーが共同で車載システムのデジタル試作を行うための、標準プラットフォームの整備と確立を目指す。
さらに、電通国際情報サービスとの間で「VenetDCP」に関する共同マーケティングの実施、「VenetDCP」および関連サービスに関する両社の役割分担等の協業ストラクチャーの検討をすることで基本合意している。「VenetDCP」と電通国際情報サービスが提供する設計開発の見える化ツール「iQUAVIS(アイクアビス)」や、クラウドCAEソリューションなどを融合させることで、車載システムの開発コスト削減や効率化を進めていく。