M&Aサクシードは、2022年6月時点で法人・審査制M&Aマッチングサイト「M&Aサクシード」上に掲載されているIT業界関連の譲渡案件数が3年前同月比3.9倍であったと発表した。また、2021年に同サイトで成約したIT業界関連の譲渡案件における平均譲渡金額は前年比4倍であったという。
深刻な人材不足が予測されるIT業界
国の調査では、2030年に最大で79万人のIT人材が不足すると試算されており、IT業界では今後も慢性的にエンジニア不足が続いていく見込み。大手IT企業が規模拡大のためにM&Aを推進するケースも増えているという。あわせて、コロナ禍において、あらゆる業種の企業がDX・IT化を推進していることもあり、リアルビジネスを運営する企業がIT企業をM&Aにより譲り受けるケースが増加。同社におけるIT関連の成約譲渡案件のうち、非IT企業がIT企業を譲り受ける件数が増加しているという。
【譲り受け企業の動向】事業成長やDXなどのニーズから、M&AでIT部門を強化する「M&A経営」が増加
IT業界の企業・事業を譲り受ける場合、優秀なエンジニアの確保という視点で「M&A経営」を積極的に行うケースも増加。優秀なエンジニアの採用や育成は難度が高く、時間もかかるため、M&Aによって同じ会社に所属し、同じ文化で業務を行ってきたエンジニアのチームを一度に確保できることは大きなメリットがあるという。また、これまでIT業務を外注していた非IT企業の場合、自社開発が可能になり、生産性が上がるという利点もあるとしている。
【譲渡企業の動向】コロナ禍による先行き不安と事業成長のための譲渡が増加
一方、IT企業の譲渡理由として、コロナ禍において、受注の状況が不安定だったこともあり、先行きの不安感のために大手の傘下に入りたいという企業が増加。また、IT企業は売り手優位となっていることから、平均譲渡金額が上昇し、事業成長の選択肢としてM&Aを検討する企業が増えているという。実際にM&Aサクシードで2021年に成約したIT業界の1案件あたりの譲渡金額は前年比4倍と大きく伸びている。これは、コロナ禍の影響で2020年の企業の売上高が、リーマンショック時に次ぐ過去2番目の大きな落ち込みとなり、投資も冷え込んでいた状況から、2021年は「アフターコロナ」を見据えて事業拡大を図る譲り受け企業が増加したことも関係していると考えられるという。
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