10月24日、スノーフレイクは「Snowflakeマーケットプレイス 事業戦略・導入事例説明会」を開催した。
はじめに同社長執行役員 東條英俊氏が「Snowflakeマーケットプレイス」の戦略および進捗状況について、「スノーフレイクは創業して10年が経ち、11年目に突入する節目の年を迎えている。日本法人も3年目となり十分な手ごたえを感じている」と説明を始めた。グローバルで約35兆円の売り上げ規模となる中、国内においても従業員拡充など投資を続けているという。ユーザー同士のデータの結びつきを表す「ステーブルエッジ(最低6週間以上共有が行われている状態を1ステーブルエッジとする)」という指標について、FY20には374ステーブルエッジだったものが、FY22には1,550ステーブルエッジを超えてきている。
「外部データの活用が進んできていると感じており、業界を超えたデータ共有も進んでいる。また、天気や株価、人流データ、デモグラフィデータなどの一般データを活用する動きもみられる」と東條氏。グローバルで256社以上のデータプロバイダー、1,500以上のデータセットがSnowflakeマーケットプレイス上で提供されているという。
また、今後は下図7つの分野からSnowflakeマーケットプレイス戦略を推進するとし、データを提供する6社が紹介された。
- 東芝テック:POSパネルデータの提供をトライアルで開始。消費者の再来店を促進する「テッククーポンデリ」を展開しており、承諾を得て統計処理(匿名加工)を施してマーケットプレイス上で、店頭での販売発生後1時間以内に地域データとして提供
- インテージ:コンビニやドラッグストアなどが利用する、商品情報・店舗情報データベースという2つのデータセットを提供
- Tangerine:小売店舗への来店客の行動を各IoT機器から収集して販促につなげる「Store360」のデータセットを提供
- xMAP:周辺の駅や交通機関情報も含んでいる飲食店のメタデータ「ロケーションデータ」を提供
- エム・データ(M Data):テレビ番組やCMデータの放送内容をテキスト化したデータベース「TVメタデータ」を提供
- メディカル・データ・ビジョン(MDV):病院などから取得し製薬会社や研究所向けに提供している4,000万人以上のリアルワードデータを提供
続いて、ユーザー事例としてQUICK サービスプロダクト本部 副本部長 山内康弘氏が、「今後、データドリブンの取り組みはますます加速していく」としてSnowflakeマーケットプレイスでの取り組みについて言及。同社は日本経済新聞社のグループ企業であり、2022年9月にオルタナティブデータ、マーケットデータの提供を開始している。
山内氏は「データ利活用における考え方が変化してくると考えており、目的達成のために多くのデータにアクセスして読み解き、将来の見通しを立てることが必要になる」として『QUICK Data Factory』を紹介。将来的にデータシェアリングが常識となる世界の到来を見越して、Snowflakeマーケットプレイス上でオルタナティブデータをはじめとする経済金融データを提供したという。
また、スノーフレイクとのパートナー戦略について、デロイト トーマツ リスクアドバイザリー シニアマネージャー 朝日基雄氏が「データ民主化やモダナイゼーションをキーワードに、グローバルでは2020年からコラボレーションをしている」と切り出した。
これまで企業の目的として財務的観点での成長が求められていたが、今後はサスティナブルな成長はもちろん「ESG integrity」を意識していかなければならないと指摘。これを受けて、データプラットフォームには下図左のような各企業がデータをもちあわせてドキュメントとしてフォーマット化されたレポートを対外的に出していたものから、右のように各企業がデータをもちながらもデータ単位でのアカウンタビリティ向上が求められるとした。
朝日氏は、「今後クローズドなアーキテクチャだけでやっていくことは不可能であり、これからは各社が求められるデータをオープンな場所に置く必要がある。サプライヤーも個社ごとでなく『自社のデータはここに置いている』と各社が必要なデータを取りに行けるように管理、協業することでクラウドデータプラットフォームを通じて取り組みを高度化できる」とした。また、ESGそれぞれの項目に求められるものが増えており、企業が責任をもって社会に対して発信していくためにはデータが不可欠であるとして、「それを支えるためのクラウドデータプラットフォームの重要性は高まる」と朝日氏。最後に下図を紹介し、特に「テクノロジーによる実現力の獲得」という点が重要であり、テクノロジーをどれだけ上手に使いこなせるかが企業にとって1番の要点になるとした。