デル・テクノロジーズは、「Innovation Index」の結果を発表した。この最新調査は、世界45ヵ国以上、6,600人の従業員(日本:300人)を対象に実施され、イノベーションがビジネスに不可欠な理由、また企業/組織が効果的なイノベーションを実現するために「人材」「プロセス」「テクノロジー」をどのように活用すべきかを説明するものだという。
イノベーションはビジネスに不可欠
回答者は「イノベーションリーダー」から「イノベーションラガード(後進企業/組織)」までの5段階のイノベーション成熟度ベンチマークに位置付けられているとのこと(下図参照)。今回の分析で、「イノベーションリーダー」および「イノベーションアダプター(導入企業/組織)」の上位2グループに分類できたのは、全世界でわずか18%だった(日本:5%)。これらのグループには、エンドツーエンドのイノベーション戦略があり、世界的な景気の後退やサプライチェーンの諸課題、環境への影響などの様々な逆風を乗り切り、継続的な成長を実現しているとした。
これら上位2つのグループが、不況時にイノベーションを促進させる可能性は、下位グループの「イノベーションフォロワー」および「イノベーションラガード」などの2.2倍に上る(日本:4倍)。また、上位グループが、下位グループよりも高いレベルの売上成長を経験する可能性が1.9倍(日本:2.9倍)となった(2022年の年間売上成長予測が15%以上)。これらの要因は、困難な時期にもイノベーションを実行する決断力と能力を擁する「イノベーションレジリエンス」だという。
グローバル(45ヵ国)と日本の結果
上図のイノベーション成熟度曲線が示しているように、大部分の企業/組織は、規定されたイノベーション戦略がないか、利益を上げるのに苦労しているとのこと。同調査は、ある時点における企業/組織の状態を反映したもので、イノベーションのための「人材」「プロセス」「テクノロジー」の準備を整えることで、各企業/組織は改善することが可能だとしている。
ビジネスには、「革新的なアイデア+テクノロジー=インパクト」という公式があるが、企業/組織には影響を与えるいくつもの依存関係があるという。多くの場合、これはアイデアに関係していると思われており、大きなひらめきの瞬間が来るのを待っているとのこと。しかし、小さな実用的アイデアが、大きな生産性、収益性、目的の実現につながる波及効果を生み出すこともあり、いずれにしても、適切なプロセスとテクノロジーは欠かすことができず、「人材」「プロセス」「テクノロジー」の3つすべてがそろって、初めて価値が生み出されるとした。
人材に基点を置いたイノベーション
以下の調査結果からも、企業/組織には、すべてのアイデアが違いを生み出し、失敗から学ぶことを奨励するイノベーションの文化を発展させるための支援が必要だという。
- 59%(日本:49%)が、「人材が辞めていくのは期待したほどのイノベーションを起こせなかったためである」と考えている
- 64%(日本:54%)が、「自社/自組織の企業文化の様々な側面が、自分たちの求める(できるはずの)革新性の実現を妨げている」と回答
企業/組織文化は、リーダー層が設定およびモデル化するものの、71%(日本:65%)が、「自分のリーダーは自らのアイデアを優先する傾向がある」と回答。イノベーションを妨げる個人的な障壁の上位には、「失敗を恐れること、リーダーとアイデアを共有する自信のなさ」などが挙げられているという。
プロセスに基点を置いたイノベーション
同様に、企業/組織全体を通じてイノベーションを実現する上で、構造化したデータドリブンなイノベーションプロセスを組み込むことに苦労していることが明らかになったとしている。同調査で明らかになった主な内容は以下のとおり。
- 「すべてのイノベーションの取り組みをデータに基づいて行っている」と回答しているIT意思決定者は26%のみ(日本:17%)
- 「イノベーションプロジェクトを自社の目標と一致させている企業/組織」は、2社中1社のみ(52%)(日本:42%)
このようなプロセスと戦略の欠如が、イノベーションの優先付けに苦労している理由の一部になっていると考えられるとのこと。チームにインパクトを与えるイノベーションへの最大の障壁として挙げられたのは、圧倒的なワークロードによるイノベーションのための時間不足だという。ただし、日本は、この点を最大の障壁とは捉えておらず(45ヵ国中27位)、最大の障壁として挙げられたのは「失敗を恐れる/アイデアが失敗したときの反響を恐れる」(45ヵ国中7位)だった。
テクノロジーに基点を置いたイノベーション
イノベーションを促進する「マルチクラウド」「エッジ」「モダンデータインフラストラクチャー」「Anywhere-Work(場所を問わない働き方)」「サイバーセキュリティー」の5つのテクノロジーについて、企業/組織がどのようなメリットを得ているのか、またどのような障壁に直面しているのかということを明らかにしているという。
- 大多数(86%)(日本:62%)は、イノベーションの目標実現を支援するテクノロジーを積極的に求めている
- 逆に、57%(日本:55%)は、自社/自組織のテクノロジーが最先端のものではなく、競合に後れを取ることになるのではないかと懸念
- ほぼすべての領域において、可能性を最大限に引き出す上で最大の障壁となっているのが「複雑さ」。たとえば、クラウドプラットフォームやアプリケーション、ツールなどを組み合わせた結果として、偶然マルチクラウド環境に到達したという企業/組織の数が非常に多く、その複雑さが時間とコスト、またイノベーションの貴重な機会を失うことにつながっている
このような状況が、世界規模で技術面におけるイノベーションの障壁であることは、調査で上位に挙げられた項目からも明らかだとしている。
- クラウドコストの増加
- ビジネスアーキテクチャー全体とITインフラストラクチャーアーキテクチャー統合の難しさ
- 新しいクラウド環境へのアプリケーション移行に要する時間とコスト
- サイバーセキュリティーの脅威(データおよび安全が確保されていないエッジデバイスでイノベーションを進められない)
- エッジでデータを取得して処理するためのITインフラストラクチャーがない
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