SAS Instituteは、ラスベガスで2024年4月16日~19日(現地時間)にかけて開催した「SAS Innovate」にて、組織が安心してAI技術を活用するための「信頼できるAI」の提供に関する新たな取り組みを発表した。
主なトピック
- 2024年中盤よりSAS Viyaにモデルカードを搭載
- 新たなAIガバナンス専任グループを設立
2024年中盤よりSAS Viyaにモデルカードを搭載
モデルカードとは、AIモデルの構造性能、想定される利用方法などをまとめたもの。同社でデータ倫理に関する取り組みを主導するレジー・タウンゼント(Reggie Townsend)氏は、モデルカードを「AIモデルの『栄養成分表示表』のようなものだ」と述べた。同氏によれば、多くの組織がAIのポテンシャルを認めてはいるものの、倫理やコンプライアンス、ルールや規制への対応などといったデータガバナンスのリスクを恐れ、導入時期や利用方法について慎重になっているという。
モデルカードは2024年の中頃にリリースされる予定で、SAS製品からコンテンツを登録したモデルのモデルカードを自動生成し、ユーザーがカードを作成する負担を軽減。また、SAS Viyaにはオープンソース管理用のアーキテクチャが搭載されているため、モデルカードはPythonなどのオープンソースモデルにも対応できるとしている。
モデルカードには公平性や正確性を担保する情報のほか、モデルの最終更新日や作成者、責任者などに関する情報も記録され、モデルのパフォーマンスに異常が生じた際にすぐ対処できる仕組みになっているという。これにより、ユーザーの悩みであるAIのリスクや透明性などといった課題を解決すると、タウンゼント氏は述べている。
新たなAIガバナンス専任グループを設立
同社のユーザー組織に対し、新たに「AIガバナンス・アドバイザリー」を提供開始するという。組織がAIプロジェクトに取り組む際、同社の専門アドバイザリーチームがユーザー組織と対話し、押さえるべきAIガバナンスの課題やポイントをインテリジェンスとして提供したり、戦略立案のサポートを行ったりするサービスだとしている。
試験導入では、ユーザーから以下のようなメリットが挙げられたとしている。
- 信頼できる分散型意思決定による生産性の向上
- データ活用における説明責任の強化による信頼性の向上
- 責任あるイノベーションの実践を求める優秀な人材を獲得して保持する能力
- 「攻めのコンプライアンス」による競争優位性とマーケット・アジリティの向上
- 社会や環境への潜在的なインパクトに立ち向かうためのブランド価値の拡大
【関連記事】
・SASが業界別にパッケージ化されたAIモデルを提供へ 「信頼できる」軽量AIモデルをすぐに運用可能に
・SAS、業界別特化の生成AIアシスタント戦略を展開 「SAS Viya Workbench」の一般提供開始も発表
・ラスベガスでデータとAIの祭典「SAS Innovate」開幕! AI時代の企業とSASの在るべき姿を描く