ドキュサイン・ジャパン(以下、ドキュサイン)は7月24日、デロイト トーマツ コンサルティング(以下、デロイト)とのアライアンス契約締結を発表した。
グローバルで150万社以上の顧客を抱え、180ヵ国以上、44言語で利用されているというドキュサイン。記者説明会の冒頭、日本法人の取締役社長を務める竹内賢佑氏は、「世界中の経済活動において日々、膨大な数の契約や合意がされているにもかかわらず、意外にも契約業務そのものの改善は軽視されがちだ」と指摘する。
契約書を作成し、社内でレビューをして、相手と交渉し、署名をもらう。そして署名が済んだ契約書を社内で厳重に管理する。普段何気なく行われているこれら一連のプロセスの中には、たくさんの人と業務が介在している。しかし、そこには大きなシステム上の課題を抱えている場合が多いと竹内氏。その課題とは、契約書の“データ”管理だ。
契約書をアナログで管理しており、大切なデータがしっかり管理されていない、アクセス不能なデータがあるというケースが非常に多いという。「こうした“契約業務の落とし穴”によって、企業は最大20%の価値を失う可能性がある」ことを竹内氏は紹介した。契約業務がスムーズに進まなかった故に失ってしまうビジネスの機会や、優秀な人材の雇用機会がもたらす損失は計り知れない。
「社内コラボレーションを促進する環境の整備や、クラウド上でスムーズに動く業務効率化のプラットフォームは浸透してきているのに、なぜビジネスのあらゆる場面に存在し、これほどの手間がかかる契約業務はアナログのままで、システムやプロセスが分断されたままなのか。ドキュサインは、この状況を変革すべく契約ライフサイクルプラットフォームを提供しています」(竹内氏)
同社は2023年8月より、日本市場で「Docusign CLM」を提供している。契約書の準備から締結、活用まで、契約ライフサイクル全体を一元化し、自動化・効率化による業務改善を実現するプラットフォームだ。同社はこれを“契約ライフサイクルプラットフォーム”と称している。アナログプロセスをデジタル化するだけでなく、セールスフォースやSAPなど外部のCRMやERP、人事システムなどとも連携できるため、企業ごとの様々なツール導入状況にも対応できるという。
契約管理全体を変革するためには、「人・プロセス・基盤」の3つの要素を変革することが必要だと語る竹内氏。今回のデロイトとの連携にも、その加速を図る狙いがある。大きく分けると、ドキュサインが「基盤」の領域で支援を提供し、デロイトが「人・プロセス」の変革支援を補完・強化するといった具合だ。
ドキュサインの強みは、前述のCLMソリューションと、それに実装されているグローバル水準のセキュリティ&プライバシー基準、そして世界中のプラクティスを知見として有している点だと竹内氏は述べる。一方、デロイトの強みは組織のオペレーション変革と最適化、そしてCLM導入推進の支援にあるという。日本では契約プロセスのデジタル化、合理化が遅れていることから、BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)の必要性を認識し同契約に至ったとしている。
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