2026年1月28日、ゼットスケーラー(Zscaler)は新サービス「Zscaler AI Security Suite」発表に関する記者会見を開催した。
Zscaler 製品管理担当 バイス プレジデント Venkat Krishnamoorthi(ヴェンカット・クリシュナムーティ)氏は、昨今のAI活用の潮流について「ここ数年で急速に進化している」と話す。ChatGPTやGeminiなどの生成AIが出てきてから、わずか数年でSlackやServiceNow、SalesforceなどさまざまなSaaSアプリケーションの中に生成AIが搭載されるようになった。加えて、各企業のソフトウェア開発者が自前のAIアプリケーションを構築している事例も数多い。
日本におけるAI活用の現状を見てみると、クリシュナムーティ氏いわく日本はAIのグローバルリーダーと言っても過言ではないという。同社の調査部門であるZscaler ThreatLabzによると、日本におけるAI/MLのトランザクション量は、前年比122%に増加。その量は世界5位にあたる。
AI革命が起こっている今、セキュリティの領域に目を向けると、そこには大きな懸念がある。会見では、以下4つが懸念点として挙げられた。
- AIスプロール:攻撃対象領域とデータ露出が拡大
- AIポスチャー:AI由来のエクスポージャーは従来型のセキュリティポスチャーツールを回避してしまう
- AI監査:AIプロトコルは複雑なため、インシデントベースでなければ検出不可能
- AIエージェント:自律型エージェントに対応できる、定義済みの保護フレームワークがまだない
これらの課題を解決する方法について、同氏は「ゼロトラストという土台の上にAIセキュリティプラットフォームを構築すること」だと述べる。AIセキュリティにはプラットフォームからのアプローチが必要不可欠だとし、同社が提供する「Zscaler Zero Trust Exchange」を土台にしながら、新製品であるZscaler AI Security Suiteを活用することでその課題に応えられると説明した。
同製品は、「AIアセット管理」「AIへの安全なアクセス」「AIインフラストラクチャーとアプリケーションの保護」という3つの観点から機能を提供する。詳細は以下のとおり。
AIアセット管理
社内のどこにAIに関するセキュリティリスクがあるのかを可視化、特定する。具体的には、組織の中で使われているAIアプリケーションを洗い出し、シャドーAIを検出。SaaSに組み込まれたAIも識別・検知する。そのほか、社員がAIにどのようなプロンプトを入力しているのか検出することも可能。入力されたプロンプトを分類し、どのような業務でAIが使われているのかを把握できる機能も付いている。
AIへの安全なアクセス
AIへのアクセスを「ブロック」「許可」「分離」の3段階で制御できる。明らかに悪意が認められるAIアプリケーションは使用をブロックし、問題ないアプリケーションは使用を許可する。また、Zscalerの機能「Browser Isolation(ブラウザ分離)」を活用することで、グレーゾーンのAIアプリケーションの利用を制御できるとのことだ。社員はAIアプリケーションを使うことができるが、そのAIに社内の機密データなどを読み込ませようとした際には利用がブロックされるという仕組みだ。
AIインフラストラクチャーとアプリケーションの保護
自社内で検知されたAIモデルが安全かどうかを確かめる方法として、レッドチーミングサービスを提供。プロンプトインジェクション攻撃やデータポイズニング攻撃などをAIモデルに仕掛け、返答を継続的にモニタリングすることで、AIの脆弱性を防ぐことができる。
また、AIが実装された後の運用に関しては、同社のAIガードレールを用いることで、AIの攻撃や不正利用から自社を守れるとしている。
会見後半には、日本法人の代表取締役である金田博之氏が登壇し、2026年の戦略を紹介した。日本のビジネス概況について、過去4年間で経常収益は3倍成長し、日本の顧客数は700社以上に増加。従業員数も4年間で5倍ほど増え、堅調に成長しているという。
そのうえで、今後3年で日本法人のグローバルに占める年間経常収益の割合を10%にし、成長率40%を目指すと同氏は語った。
2026年は、新規顧客の拡大と製品の迅速な日本展開、パートナーエコシステムの拡大に注力するという。新規顧客としては、従来の顧客ターゲットであった大企業に加え、中堅・中小企業も顧客層として取り入れる狙いだ。また、本国と日本の連携を強化し、製品展開のスピードを早めていく。今回発表された新製品も、本国のみならず日本でも活用可能だ。そのほか、SIerをはじめとするパートナーとの連携も深化させていくと語られた。
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