ServiceNow Japanは2026年4月22日、東京ミッドタウン日比谷の新オフィスにおいて、2026年の事業戦略に関する記者説明会を開催した。同社は「AIエージェント時代の企業OS」を掲げ、AIを単なるツールから自律的に業務を担う「AI社員」へと進化させる戦略を提示した。
説明会の冒頭、社長執行役員の鈴木正敏氏は、グローバル売上が前年比21%の成長率で2兆円を超え、日本国内ではグローバルの成長率を上回るほどの好調であることを明かした。
AI活用について鈴木氏は、「昨年後半から、ほぼすべての商談がAI活用を前提としたものになった。AIを企業内でスケールさせるには、業務プロセスをつなぐプラットフォームが不可欠だ」と述べた。そのうえで経営者との対話を振り返り、「AIは疲れないし不満も溜めない。しかし、デジタルでつながっていないと活躍できないという極めてシンプルな弱点がある」と指摘。「システムがサイロ化し、人がその間をフォローしているような環境に優秀な人材は集まらない。AIを企業OSとすることで、このボトルネックを解消する」と強調した。
さらに、具体策として3つの主要ソリューションを提示。従業員の窓口となる「EmployeeWorks」、自律的にロールを担う「Autonomous Workforce」、そしてガバナンスの管制塔となる「AI Control Tower」だ。特にセキュリティ面では、4月20日(米国時間)付けで買収完了を発表したArmisに触れ、「OTやフィジカルAIも含めた広範な資産をエージェントレスで保護し、AIが安心して働ける環境を整える」と語った。
続いて登壇した専務執行役員 COOの原智宏氏は、人とAIの関係性の変遷を解説。原氏は「これまでのAIは人が呼び出す『ツール』だったAIが、これからは人からの指示をトリガーに自律的に動く『AIワークフォース(AI社員)』のステージへ進む」と宣言した。
さらに原氏は「業務の実行主体は人からAIへ移転し、人はその実行を管理監督する『ヒューマン・オン・ザ・ループ』の形へとシフトする」と述べ、自社での実践例を紹介。ServiceNowでは2020年以降、右肩上がりで増加している約2万8000人に上る従業員に対し、その間ITサポート要員を増やすことなく、むしろL1(レベル1)対応をAIに代替させることで、人によるサポート要員をさらに削減することに成功しているという。
また、AIがより高度な判断を行うための新機能「Context Engine」についても言及。「AIを社員として迎え入れるには、単なるデータだけでなく、業務の文脈(コンテキスト)を理解させることが重要だ。これにより、AIが人と同等、あるいはそれ以上の精度で業務を完結できるようになる」と、その重要性を説いた。
4月6日から東京ミッドタウン日比谷にオフィス移転したことについて、鈴木氏は「入社した4年前から、世界最先端のテクノロジーを担いで日本社会に貢献したいと考えてきた。皇居や日比谷公園に近いこの場所にオフィスを構えたことは、日本市場へのコミットメントの象徴である」とコメントした。
新オフィスには、顧客の経営層と戦略的対話を行う「Tokyo Innovation Center」を併設。没入型のデモルームや、グローバルの経営陣が実際に使用しているモニターを投影する「CxOダッシュボード」を備えている。また、執務フロアの4分の1を「ワーキングカフェ」に充て、「社員が自ずと集いたくなり、協働が生まれる空間を目指した。デジタルネイティブな優秀な人材に選ばれる企業価値に直結する」と鈴木氏は説明した。
最後に、新たなライセンス体系についても発表があった。すべての階層でAI機能を標準搭載し、ユーザー単位の予測可能性と、利用量に応じた柔軟性を組み合わせたモデルを提供するという。原氏は「一番ベーシックなモデルからAIを利用できるようにし、裾野を広げていく。AIを新たな経営資本として活用し、人間がよりクリエイティブな業務に集中できる社会を実現したい」と締めくくった。
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小山 奨太(編集部)(コヤマ ショウタ)
EnterpriseZine編集部所属。製造小売業の情報システム部門で運用保守、DX推進などを経験。
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