日本航空(以下、JAL)は、CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)1号ファンドを通じて量子コンピューティング技術、数理最適化技術、高速データ処理技術を有するエー・スター・クォンタム(A*Quantum)への出資を発表した。
2023年7月より、JALグループの航空機整備を担うJALエンジニアリングにおいて、A*Quantumと共同で「航空機運航整備計画の自動最適化ツール」の開発が進められており、2026年3月には正式運用を開始したという。これにより、ベテラン社員の経験則に頼っていた複雑な計画策定において、大幅な時間短縮に向けた一定の成果を得ており、今後もさらなる時間短縮を目指し取り組みを進めていくとのことだ。
JALが量子技術に取り組む背景
航空事業は、運航、客室、整備、空港オペレーションをはじめ、予約、販売や、企画・支援に当たる間接部門なども含め、多岐にわたる複雑な制約条件のもとで成り立っているという。近年、データ量の増加や人財確保における制約、業務の複雑化により、従来の経験則や既存システムだけでは迅速かつ最適な意思決定が困難になりつつあるとしている。
JALは、これらの課題解決に量子コンピューティング技術などの活用が不可欠だと考えているとのことだ。
A*Quantumは、量子コンピューティング技術などを駆使し、データ抽出から分析、仮説立案、リソース配分の最適化まで一気通貫で支援し、実業務の課題を計算可能なモデルに落とし込む、高い「実装力」を持つスタートアップ企業だとしている。
今回の出資は、整備領域での実績を踏まえ、A*Quantumの技術を活用したJALグループ全社的なDX推進と生産性向上、さらには新規事業創出へつなげるための戦略的な一歩だと述べている。
今後の展望
JALは今後、整備領域での先行活用で得られた成果や知見をモデルケースとし、JALグループ内の各業務現場における課題解決に向け、量子コンピューティング技術などの先端技術を積極的に活用していくとのことだ。
また、JALデジタルを含むJALグループ各社とも連携し、各現業部門が抱える課題やニーズに応じた最適なテクノロジーの具体化を進めるとともに、A*Quantumとの取り組みを通じて実用性が確認され、業界を問わず課題解決に貢献しうるソリューションについては、将来的な外部提供の可能性についても検討していくと述べている。
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