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日本オラクル、ソブリン強化でFY26売上は過去最高に 月次パッチや教育プログラムで最新脅威に対応

 日本オラクルは7月7日、2027年度の事業戦略説明会および、これにともなうサイバーセキュリティ対策に関する説明会を開催した。

 同社 取締役 執行役 社長の三澤智光氏は事業戦略説明会の冒頭、2026年度における日本オラクル単体の通期売上高が2850億円(前年同期比8.2%増)と過去最高を更新し、営業利益は897億円、経常利益は913億円、当期純利益は635億円として成果を示した。

 昨年度の重点施策であった「日本のためのクラウド(Cloud for Japan)」戦略は、国内主要パートナーである野村総合研究所、富士通、NTTデータ、ソフトバンク、日鉄ソリューションズの5社にクラウド基盤構築ソリューションである「Oracle Alloy」を導入したことで大きく進展したと述べる。各パートナー企業が日本国内のデータセンターにおいてデータ主権や運用主権を確保しながら、独自のソブリン対応クラウドおよびAIサービスを提供する体制が整っていることを示した。

日本オラクル株式会社 取締役 執行役 社長 三澤智光氏

 また三澤氏は、従来の日本のIT投資構造が人件費に偏り、社内の情報システム部門が外部ベンダーへの依存によって単なる“調整役”になっているという課題を指摘。これを変革する具体的なアプローチの例として、厚生労働省が情報公開事務などの業務効率化、最適化を推進するためにオラクルのAIサービスを採用したことを公表した。これは「Oracle Autonomous AI Database」や「OCI Enterprise AI」「Oracle APEX」などを活用して、意味検索と対話型AIによるRAGシステムを段階的に構築するものであり、第1段階として前例や関連文書の意味検索システムが稼働を開始しているという。

 さらに同社は、国内の有力なSaaS事業者との共創プログラムである「Oracle ISV AI Transformation Program」を始動させ、第1弾として開始した実機検証サービス「OCI AI Use Case Assessment」を通じて、約100種類を超えるAIユースケースを提供するという。ウイングアーク1stが提供するAIテクノロジー「dejiren AI」にOCI Enterprise AIを採用し、企業向けAIエージェントサービスを強化しているほか、NSWが流通・小売業向けのマルチモーダルAI検証にOCIを採用。ソリューション・アンド・テクノロジーは人事・会計・総務領域のSaaSにおいてOCI+Oracle AI Databaseを活用しており、さらにBLUEISHをはじめとする複数の事業者がオラクルのAIスタックを採用することで、製品価値創出と市場投入までの期間を短縮していることを示した。

 こうした多角的なデータ活用を前提に、オラクルはAIエージェントが目標設定、計画、情報収集、判断、実行にいたる基幹業務をエンドツーエンドで自律的に処理する「自律型企業(Autonomous Enterprise)」へのパラダイムシフトを提唱する。三澤氏は、Oracle AI Databaseによってあらゆるコンテキストと高度な多重防御セキュリティ、高可用性をワンストップで包含できる点を強みとして挙げた。

 この設計思想に基づき、同社は既に調達や営業、人事といったミッションクリティカル業務に対応する22種類の新しいエージェンティックアプリケーション(Fusion Agentic Applications)とともに、顧客やパートナーが独自のエージェントを拡張・管理できる「Oracle AI Agent Studio for Fusion Applications」も提供開始している。

 事業戦略説明会の後には、高度化するサイバーセキュリティの脅威と、それに対する具体的なレジリエンス(回復力)の強化策に関する説明会も実施された。同社 吉川顕太郎氏は、「AIによって攻撃速度が数日単位にまで加速する一方、侵入後に狙われるのは常に『業務データとバックアップの破壊・奪取』という本質は変わっていない」と現状を分析。そのため企業側は、サポート対象の最新環境の維持、迅速なパッチ適用、そして侵害を前提として「確実に戻せる仕組み」のバックアップと復旧訓練の確立を、これまで以上にスピード感をもって確実に実行しなければならないと訴える。

日本オラクル株式会社 執行役員 クラウド事業統括 AIプラットフォーム統括 吉川顕太郎氏

 こうした課題に対し、オラクルは自社のソフトウェア開発プロセスに「Claude Mythos Preview」や「OpenAI Trusted Access for Cyber」などの最新モデルを組み込んで脆弱性修正を迅速化させている。その成果として2026年5月28日より、従来の四半期累積パッチである「Critical Patch Updates(CPU)」のリリース頻度を補完する形で、重要修正を月次ベースで重点的に提供する新制度「Critical Security Patch Update(CSPU)」へとパッチ供給体制を移行。月次ベースでパッチが提供される仕組みを確立したという。

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 同社 大澤清吾氏は、日本オラクルがかねてより提供している「Oracle Software Security Assurance(OSSA)」のプロセスを拡張することで、重要な修正の計画的かつ迅速なデリバリーが可能になったとし、緊急対応用の「Security Alert」と合わせて紹介した。

日本オラクル株式会社 クラウド事業統括 AIプラットフォーム統括 AIガバナンスソリューション部 シニア・マネージャー、CISSP 大澤清吾氏

 さらに同社は、情報の分散によって優先順位の判断に苦慮している現場の実務者向けに、「何から確認し、何を優先すべきか」を体系的にオンデマンド学習できる教育プログラム「Oracle AI Resilience Training(OART)」を2026年7月より提供開始するとしている。同トレーニングの概要は以下のとおり。

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 これと同時に、同社は各企業の現在地に応じてオンプレミス継続からクラウドリフト、クラウド最適化、アプリケーション保護にいたるまでプロフェッショナルサービスが伴走型で支援する個別サービス「Oracle AI Resilience Solutions(OARS)」を立ち上げた。

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 日本オラクルはこれらの取り組みにおいて、国内の主要システムインテグレーターを含むパートナー企業からの賛同を獲得しており、市場全体のセキュリティレベル底上げを共同で加速させていく予定だとしている。

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竹村 美沙希(編集部)(タケムラ ミサキ)

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