DevRev Japanは2026年10月22日、記者説明会を開き、日本リージョンの一般提供(GA)を同日付で開始したと発表した。あわせて、米DevRevが自律型のAIワーカー「Operator(オペレーター)」を世界向けに発表した。説明会にはPwCコンサルティング、オーアール・ラボ、ワークスアプリケーションズの3社が登壇し、JDSCとの協業も紹介された。
DevRevは、社内に散らばる顧客・従業員・チケットなどのデータを関連付けて蓄積し、AIが業務に使えるようにするプラットフォームを提供する。対話型のAIチームメイト「Computer」を中心に展開してきた。日本法人は2025年10月の発足から1年が経つ。
町田氏は、今回の発表として3点を挙げた。限定提供(Limited GA)だった日本リージョンのGA開始、OpenAIが9月に発表した企業向け「OpenAI Marketplace」への初期参画(AIワーカーパートナー)、AWS Marketplaceを通じた提供体制の整備だ。
Operatorは、Computerと同じ「Memory」「Harness」「AirSync」の基盤を共有する。Memoryは外部システムの情報を関連付けて蓄える仕組み、Harnessは複数の人とAIが一緒に作業する環境、AirSyncは既存の業務システムと双方向に同期する仕組みを指す。
業務は役割で分ける。Operatorは、顧客サポートやIT、人事などで発生する、件数が多く判断の少ないL1・L2の業務を自律的に処理する。文脈と高度な判断が必要なL3・L4の業務は、OperatorがComputerや人の専門家を呼び出して解決する。
Pandey氏は、Operatorを「エージェントたちのマネージャー」と説明した。IT部門や営業部門などに置かれる特化型のエージェントを束ねる存在で、個々のエージェントを外部に公開する必要はないという。エージェントの管理・テスト・監視は「Agent Studio」で担い、ログや指標を自動評価に回して品質を高める「再帰的自己改善(RSI)」も備える。
課金も従来のSaaSと変える。Computerは消費量コミットメント(1〜3年)、Operatorは成果ベース(36ヵ月契約)で提供する。Pandey氏は「シート課金のサブスクリプションは非常に無駄が多かった」と述べ、削減したコストを成果報酬として顧客と分け合うモデルだと説明した。グローバルの顧客4社だけで、数千万ドル規模のコスト削減を達成した例があるという。
中心に据える考え方は「オントロジー」だ。企業の概念や関係性を定義した、AIが読める設計図を指す。市場規模は、顧客対応とITで1.3兆ドル、人事・営業・製品まで含めると19兆ドル、将来は34兆ドルになるとの見立てだ。ソリューションを一言で表すと何かと問われ、「Work as a Service」と答えた。
パートナー戦略では、顧客先に常駐するエンジニア(FDE)が個別に作り込む手法を採らない。Pandey氏は「パートナーのほうが、デリバリーをはるかにうまくできる」と語る。Agent Studioで作ったエージェントやワークフローは、マーケットプレイスを通じて複数の顧客に再利用してもらう構想だ。OpenAIとの連携では、企業向けソリューションを「数ヵ月や数年ではなく、数週間で稼働させる」という。Pandey氏は、求めるパートナー像を「顧客の損益計算書(P&L)の変革にコミットできる」企業とした。契約形態を問われた町田氏は、個別の条件は開示しないとしたうえで、リセラー(再販)契約の要素を含むものもあり、DevRevのパートナープログラムの枠組みで各社と結んでいると述べた。3社との発表はすべてこの日初めて公表する内容だという。
樋崎氏は、クライアント企業のCEOの危機感が10年前と変わり、「10年以内に自社のビジネスモデルが消滅するのではないか」と考える経営者が多いと語った。協業では、PwCコンサルティングが用語やKPI、判断責任や承認範囲を定義する「業務オントロジー」を設計し、DevRevが分散データを元のアクセス権限を引き継いだまま結び付ける「ナレッジグラフ」を実装する。AIが根拠を示して提案し、人が最終判断を下し、その結果をオントロジーの改善に反映する流れだ。
鹿間氏は、アジャイル型でプロトタイプを作って現場で検証し、本番化を判断する伴走型のPoC(概念実証)支援サービス「MOVERS」を紹介した。教育事業では、約240時間のデータアナリスト育成プログラム「Wawiwa」の教材とFAQをDevRevに学習させ、受講生の質問にAIがチャットで答える仕組みを作った。外部の動画生成AIをAPI経由で呼び出し、解説動画を自動生成する機能もある。教材作成担当者が、コーディングなしで約2ヵ月かけて実用レベルまで構築したという。支援先のパレスリンクが展開する宿泊施設向け「TOMARO+」では、現場の問い合わせや改善要望をDevRevで一元管理する運用を検討している。
秦氏は、同社が30年にわたりERP「HUE」などで蓄積した「業務の型」を、AIに渡す設計図として提供すると説明した。10月19日付で基本合意書(MOU)を締結しており、DevRevがナレッジグラフ、データ同期、AIエージェントとして実体化する。秦氏は、「顧客」の意味がCRMでは見込み客を含み、ERPでは請求書の発行先、配送システムでは納品先と異なるため、LLM単体では誤った集計やハルシネーション(もっともらしい誤り)が起きると指摘した。
DevRevは、まず自社をカスタマーゼロ(最初の利用者)として、サポート業務や導入業務で、精度、トークン効率、権限内での実行、応答速度の4点を検証する。その後、共同開発と、日本の大手企業向けの販売・導入支援体制を検討する。
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京部康男 (編集部)(キョウベヤスオ)
ライター兼エディター。翔泳社EnterpriseZine/AIdiverには業務委託として関わる。翔泳社在籍時には各種イベントの立ち上げやメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在はフリーランスとして、エンタープライズIT、行政情報IT関連、企業のWeb記事作成、企業出版支援などを行う。Mail ...
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