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Data Tech 2026

2026年11月6日(金)オンライン開催

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EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2026年冬号(EnterpriseZine Press 2026 Winter)特集「AI時代こそ『攻めの経理・攻めのCFO』に転じる」

IBM TechXchange

IBMが示したエージェント時代の「セキュリティ・運用」を形作る新製品 HashiCorpの存在感も

AIエージェントをリアルタイムで統制・保護し、インフラストラクチャ全体をリアルタイムで一元管理せよ

名須川 楓太(編集部)[著]

 米国アトランタにて開催された「IBM TechXchange 2026」。大規模かつミッションクリティカル性が要求されるエンタープライズにおける、AIエージェントの「実装」をテーマに、基調講演では①データ、②デプロイメント、③ランタイムの3つの分野で、IBMの直近の取り組みや新製品の発表が行われた。

①データでは、IBM×Confluentによりエージェント時代の新たな主流データアーキテクチャとして「Streamhouse」が示された。

②デプロイメントでは、誰もが簡単にAIエージェントやアプリケーションを構築し、AIとともに協働する組織になるための“玄関口”として機能する「IBM Bob」の大幅な拡張や、「watsonx Orchestrate」の新機能が示された

 本稿では、③ランタイムにおける発表の内容をレポートする。AIエージェントを24時間365日信頼できる一員として組織内に実装するためには、その権限や行動を常に把握・管理するための基盤が必要だ。また、外部からの脅威がマシンスピードへと進化し、それに対応すべく防御側の運用・改善サイクルも高速化が求められている今、運用そのものの在り方も見直さなければならない。

 前回は、管理しているエージェントを継続的に評価する「AgentOps Agent」や、ユーザーの社内統合フローにAIエージェントを最適化する「IBM Integration Intelligence Hub」などの発表を取り上げたが、それに続く形でさらなる複数の発表を取り上げる。

AIエージェントのあらゆる権限・行動をリアルタイム統制する

Agent Identity

 すべてのAIエージェントに対しIDを付与して、各エージェントと従業員一人ひとり、さらにはシステムとの依存関係をリアルタイムで把握・管理できる。誰が、どのエージェントに対し、どのような権限を持っているのか。また、そのエージェントの行動は、誰が許可・指示したものなのか。どのエージェントが、どのシステムやデータにアクセスできるのか。これらをすべて視覚的に分かりやすく可視化する。また、Microsoft EntraやIBM Verifyと連携し、人間(ヒューマンワーカー)とエージェント(AIワーカー)を同格のアイデンティティとして一元管理できる。

 なお、既存のIdPにとって代わるものではなく、ユーザーの環境に既に存在するOkta、Entra ID、Ping、IBM Verifyなどを補完し、OAuth 2.0 OBO(On-Behalf-Of)やOAuth 2.0 PAR(Rich Authorization Requests)といった標準プロトコルに基づいて動作する。

HashiCorp Vault 2.2

 HashiCorpユーザーにとってはお馴染みのセキュリティツール「Vault」の管理対象範囲が、従来のマシンアイデンティティからエージェントアイデンティティまで拡大した。

 最小権限の原則に基づき、環境内の各AIエージェントに許可されている操作の範囲に限定して、短期間のみ有効な認証情報を発行する。AIエージェントごとに専用のアカウントを発行・提供し、認証情報を自動的に更新する仕組みだ。もし不正な振る舞いなど異常が検知されたら、即座に権限を失効させる。SCIMプロビジョニングや耐量子暗号 X.509証明書の発行にも対応。

Secure Hub

 クラウド、オンプレミス、エッジに分散するVaultクラスター全体の認証情報やシークレットを一元的なダッシュボードで可視化・管理できるソリューション。

従来型のIT運用に訪れた限界を「Concert Platform」が打破する

 一連のセキュリティ製品の発表が行われた後で、話題はIT運用の自動化へと移った。CTOのタイラー・リンチ(Tyler Lynch)氏は、過去10年間の自動化を振り返る。IaC(Infrastructure as Code)や共有モジュール、PaC(Policy as Code)などを通じて、インフラの再現可能なプロビジョニングと管理が可能となったのが、AIエージェント以前の自動化の変遷だ。これが今、さらに大きく変わろうとしている。

 リンチ氏はかつて在籍していたAWS(Amazon Web Services)にて、顧客がよく設定ミスに起因するインシデントを起こしていたことを回顧した。「設定ミスのほとんどは、悪意をもって行われるのではなく、理解不足や認識の相違によって生じる」と同氏。すべてのチームが異なる方法でインフラを構築すると、制御に不一致が生まれ、運用リスクの管理が困難になると指摘した。ハイブリッドクラウド環境全体に及ぶインフラを管理するとなると、どの部門や事業体がどんなインフラを所有しているのか逐一把握することが困難になる。サポートする運用環境もどんどん増えていく。

 となれば、必要となるのはクラウド、オンプレミス、エッジのどこに存在するかにかかわらず、インフラを検出して調査できるような方法だ。IBMは今回、このニーズに応えるべくHashiCorpの新機能・ソリューション群を発表した。

  • Terraform Policy:人間と機械の双方が読みやすいよう作られた、HCLベースの新たなポリシー言語。CIS foundations、PCI DSS、NIST 800-53、ISO 27001などの主要コンプライアンスフレームワークに対応。Microsoft AzureとGoogle Cloudユーザー向けにもCIS foundationsが用意されているとのこと
  • Terraform Developer Portal:Terraformのインターフェース内で、直接セルフサービスモジュールやリポジトリを通じて利用できるようにし、再利用可能な成果物のバージョン管理にも対応
  • Terraform remote MCP server:IBM(&HashiCorp)がホストとなってリモート管理され、常に最新状態に維持されたMCPサーバー。もちろん、ユーザー自身の環境やエアギャップ環境で実行したい場合には、セルフホストすることも可能
  • Terraform search with policy:Terraform searchによってTerraform管理外のリソースを検索し、その検索結果をTerraform policyと照合させ、Terraformに取り込む前にそのリソースがポリシーガイドラインを満たしているか評価できる
  • Terraform powered by Infragraph:Terraformのステート情報と接続された環境を横断して、高度なクエリ機能を提供する

 そして、さらに大きな課題となるのがインフラを構築した後のDay2、すなわち保守・運用だ。「組織のキャパシティのうち、約80%はDay2運用が占めている」とリンチ氏は述べる。

 もちろん、ほとんどの運用やSREの現場では既に何かしらの形でAIが活用されており、たとえば数時間分のログを手作業で振り返ったり、都度アラートに対応したりといった反復作業は、現在ではAIエージェントによって大幅に効率化・リアルタイム化されている。脆弱性ハンティングやITコスト管理も急速に高度化が進んでいる。

 しかし、このスピードをさらに上げていかなければならないとリンチ氏。Linuxカーネルだけでも直近30日で1,300件を超える脆弱性がCVEとして報告されたうえ、つい最近はPHPやNode.jsの脆弱性が世界中に混乱をもたらした。そんな中でも、企業には「商業的に実用的な範囲で運用しなければならない」という制約が課される。開発・テスト環境を過大にサイズ設定し、夜間でもシャットダウンしない。そんな環境下でエンジニアは日々の対応に迫られている。

 「今日のエンタープライズは社内外のツールで構成され、それら数多のツールが異なるタイプのアラートやイベントを発しています。そこから洞察を得てアクションを起こすのは簡単ではありません。ドメインをまたいでクエリを実行し、システム全体への影響を理解し、共有されたコンテキストで迅速に行動できる世界が求められています」(リンチ氏)

 こうして今回発表されたのが「Concert Platform」である。アプリケーション、インフラストラクチャ、ネットワーク、セキュリティを横断して統合管理できる運用基盤である。単一コンソール上でデータ、コンテキスト、意思決定をリアルタイムで同期させることが可能だ。脆弱性の特定や影響範囲の把握を高速化し、複数環境にまたがる修復対応を連携して進められるようになる。

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名須川 楓太(編集部)(ナスカワ フウタ)

サイバーセキュリティとAI(人工知能)の分野を中心に、ソフトウェア/ハードウェアを問わず国内外の最新技術やルールメイキング動向を取材。そのほか、DX推進、IRなどのコーポレート領域でも情報を発信。※取材のご案内等は個人のメールアドレスか、EnterpriseZine編集部の問い合わせ窓口にお願いいた...

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