11月16日に開催されたプレス会見では、EMC Ionixの事業戦略が発表された。
はじめに、EMCジャパン株式会社テクニカルコンサルティング本部プロダクト・ソリューションズ統括部長の糸賀誠氏がクラウド運用管理ソリューション「Ionixファミリ」の事業強化戦略について語った。
糸賀氏によると、ここへきてクラウドや仮想化の検討企業はかなり増加してきており、とりわけ仮想化に関しては「統合化」の段階から「プール化」の段階に移行してきているという。ここでのユーザー部門の課題は、仮想化によって物理、論理、アプリケーションの各環境が動的かつ複雑化するため、障害発生の因果関係が把握できなくなるなど、運用管理の難しさが増大していることであり、今回のEMC Ionixの事業強化はこうしたクラウド時代の運用管理に対応するためであるという。
「Ionixはワールドワイドでは5000のサイトで導入されており、日本でも金融機関での障害対応などをはじめ急速に導入が進んでいる。今回の事業強化のポイントは製品の統合、パートナー販売の強化、市場への発信である」(EMCジャパン 糸賀誠氏)
特に注目されるのは、EMCの子会社であるVMwareの製品の統合である。VMwareの仮想環境の管理ソリューションであるvCenterにIonixの7つの製品を統合していくことで、EMC+VMwareの強力な仮想化運用管理を実現していくという。
また、Ionixのパートナーに関しては、これまでNEC、CTC、ユニアデックスの3社であったが今後は10社に拡大の予定。すでにネットワン社が決まっているという。「仮想化運用の問題点の認識はまだ始まったばかり。今後お客様と一緒に洗い出し問題解決をおこなっていく」(糸賀誠氏)
そのために、2011年からパートナーとユーザーによるコンソーシアムを設立し、仮想化・クラウド運用管理のソリューション開発と情報発信をおこなっていくという。
続いて、テクニカル・コンサルティング本部プロダクト・ソリューションズ統括部 シニア・テクノロジー・コンサルタントの毛利洋一郎氏がIonixの運用管理の技術的な解説をおこなった。現在の仮想化環境の管理は、従来のルール化による管理手法や属人的な障害ポイントの認識が通用しない点が問題である。これに対して、Ionixは従来のサイロ化した管理基盤からのインシデントの垂れ流しから、統合化された管理構造に集約していく管理プロセスのインテグレーションをおこなっているという。
「トポロジーの依存関係の解析を可能にするオブジェクト指向を適用している。このためそれぞれの機器の関連やアプリケーションの関連性の検出までおこなえる」(毛利洋一郎氏)
仮想化とクラウドによって、運用管理のソリューションやツールの分野が活発になっている。この分野はこれまで、日立、富士通などの国産系が強かったが、EMCの強みはなんといっても子会社であるVMwareとの統合である。今回のEMCの運用管理ソリューションの本格的な事業強化がますます加速化させるものと思われる。