調査結果の概要は次のとおり。
2014年のクラウド基盤サービス市場規模は前年比49.3%増の906億円と大きく拡大
2014年のクラウド基盤サービス市場規模は、事業者売上高ベースで前年比49.3%増の906億円と大きく成長した。
現行のビジネススピードに合わせるためには自動更新や機能向上の恩恵を受けやすいクラウドを利用する必要があると考えるユーザー企業が増加していることや、ハイブリッドクラウド/マルチクラウドなどといった手法の利用が大企業を中心に拡大していることなどに伴い、クラウド基盤サービス市場は順調に成長を続けている。
拡大を続けるクラウドエコシステム
企業システムのクラウド化が進行しているが、ユーザー企業のオンプレミスに残るシステムもあることから、複数のクラウドを適材適所に使い分けるハイブリッドクラウド/マルチクラウドに対するニーズが高まっている。
こうしたクラウドの選択や最適化を支援する存在にクラウドインテグレーターやクラウドブローカーなどがあり、今やクラウドビジネスの成長に不可欠な存在になっている。
クラウドインテグレーターやクラウドブローカーは複数のクラウドサービスに精通したり、特定のクラウドサービスの専門性を高めることでクラウド基盤サービスの成長を支えていくと同時に、クラウド基盤サービス提供事業者のエコシステム拡充に貢献し、クラウド基盤サービス提供事業者のビジネス拡大に寄与している。
一方で、クラウドインテグレーターやブローカーの参入事業者数が増加基調にあり、事業者間の競争が激しくなってきている。そのため、クラウドインテグレーターやブローカーはユーザー企業に対し、次々に提供される新しいサービスの選択や改善方法、また最適化を提案する力が求められている。
これまでのクラウド基盤サービスにおいては価格の安さとサービスの速さが求められていたが、IaaSの汎用化が進む中で提供事業者の自社サービスだけでは他社のサービスとの差別化が困難になってきている。
差別化を図り、また新たな付加価値をユーザー企業に提供するため、クラウド基盤サービス提供事業者同士が連携し、エコシステムを形成する動きもある。
利用企業が増加し、2018年のクラウド基盤サービス市場規模は2,900億円を予測
クラウド基盤サービス市場は、利用する企業が増加しているだけではなく、すでに利用中の企業においてもスモールスタートが本格スタートへ、国内展開がグローバル展開へと利用範囲の広がりを見せている。
また、IoTによるクラウド基盤サービスの利用が拡大していくことなどから、2015年以降も高成長を維持していき、2018年のクラウド基盤サービス市場規模(事業者売上高ベース)は2,900億円に達すると予測する。
現下、企業におけるクラウド基盤サービスの利用が一般化してきたことで、実務に貢献するアプリケーションを開発しようとする動きが活発化している。これによりIaaSと比較すると、開発のフレームワークが整ったPaaSの利用が増加しており、クラウド基盤サービス市場は今後PaaSが牽引していくものと考える。
なお、調査と予測の詳細は、矢野経済研究所が刊行した「2015 クラウドコンピューティング(IaaS/PaaS)市場の実態と展望」に掲載されている。