IDCでは、国内プライベートクラウド市場を「オンプレミスプライベートクラウド」、ホスティング型プライベートクラウドである「デディケイテッドプライベートクラウドサービス(DPC)」、および「コミュニティクラウドサービス」の配備モデル別に分類して調査している。
2016年にはオンプレミスプライベートクラウドは50%を下回る
2014年の国内プライベートクラウド市場における配備モデル別支出額割合では、オンプレミスプライベートクラウドが58.2%を占めている。
国内プライベートクラウド市場は、すべての配備モデルにおいて成長を継続。また、ベンダーがITリソース資産を所有し、プライベートクラウドをサービスとして提供するDPCおよびコミュニティクラウドサービスの成長は著しく、2016年には、オンプレミスプライベートクラウドの配備モデル別支出額割合は50%を下回るとIDCは予測している。
ハイブリッドクラウドのハブ機能や事業拡大基盤としての役割が成長をけん引
現在、プライベートクラウドに対するユーザーの期待は、ITあるいは業務の効率化となっている。一方、パブリッククラウドに対するユーザーの期待は、すでに効率化だけでなく、事業拡大(ビジネスイノベーション)へと拡がりつつある。
このような中、ビジネスイノベーションはパブリッククラウド、信頼/安定性が重要な業務(IT)はプライベートクラウドといった風潮が見られる。また、パブリッククラウドと、プライベートクラウドを連携させるハイブリッドクラウドにも高い注目が集まっている。
ハイブリッドクラウドでは、複数のクラウドを統合管理するとともに、ITガバナンスの強化が必要であり、ハイブリッドクラウドの「ハブ」としての機能がプライベートクラウドにおいて重要となっている。
プライベートクラウドの価値は効率化だけではなく、今後、産業に特化したソリューションが強化され、ビジネスイノベーションを支える基盤として発展するとIDCはみている。
IDC Japan ITサービス リサーチマネージャーの松本聡氏は、「現在、プライベートクラウドでは高信頼/効率化に対する注目度が高いが、これだけではベンダー間の差別化が難しい。ベンダーの長期的な 事業戦略には、イノベーションを支えるテクノロジーの導入と、ユーザーの理解と応用を促す産業特化型ソリューションが重要となる」と分析している。
今回の発表について詳細は、IDCが発行したレポート「国内プライベートクラウド市場 2014年の実績と2015年~2019年の予測」にまとめてられている。