ベンダー別では2014年もシスコシステムズが市場のリーダーとしての存在感
データセンターに導入されたイーサネットスイッチ、ADC(Application Delivery Controller)、WAN最適化、 InfiniBandからなる国内データセンターネットワーク機器市場は、データセンター活用が勢いづく中で、前年比成長率9.4%の大きな成長を達成した。
2014年の成長の背景には、「コンテンツ事業者のサービス提供基盤拡大」「クラウドサービスの利用拡大に合わせた増強需要」「トラフィック増加に適応した処理能力の強化」「経済状況の改善に伴う企業ITシステム向け需要拡大」の4つの要因があったとIDCでは捉えている。
ベンダー別では、2014年もシスコシステムズが市場の明確なリーダーとしての存在感を示した。また、ブロケードコミュニケーションズシステムズ、HP、富士通、アリスタネットワークス、デルも売上を伸ばしている。
今後のベンダー動向を左右するとみられるNetwork disaggregationと呼ぶネットワークOSとスイッチングハードウェアをアンバンドル化する動きは、国内ではいまだ限定的と言える。
2014年の国内データセンター向けイーサネットスイッチ市場におけるODM Directスイッチのシェアは、2%未満にとどまっている。Network disaggregationの進展は、ネットワークOSの機能面の拡充や運用管理性の向上が鍵を握っているとIDCではみている。
2015年以降も成長は持続、2014年~2019年の年間平均成長率は4.7%と予測
「第3のプラットフォームへのトランスフォーメーション」と「モバイルを中心としたインターネットサービスの拡充」が、データセンター基盤の増加と増強を今後も促す。
2015年の国内データセンターネットワーク機器市場は、2014年を6.5%上回り890億8,200億円に達し、2014年~2019年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は4.7%になると予測している。
成長するデータセンター向けイーサネットスイッチ市場の中でも、クラウド環境向けはこれから本格的に成長する。2014年~2019年のCAGRは、データセンター向けイーサネットスイッチ市場全体が5.7%に対して、プライベートクラウド向けが12.7%、パブリッククラウド向けが8.5%と市場全体を上回る成長を予測している。
今後も国内データセンターネットワーク機器市場は成長を続ける一方で、インフラストラクチャを整備する事業者は、拡大し続けるデータセンターネットワーク基盤のいっそう効率的な運用管理を実現していかなければならない。
それを実現するために、データセンターネットワーク機器ベンダーは、「事業者の志向する運用管理のアプローチごとに適した運用管理手段を提供すべきである。サーバー運用管理のアプローチを志向する顧客には、DevOpsで用いるツールの実装を積極的に進めるべきである。一方で、これまでのネットワーク運用管理のアプローチから自動化を押し進めたい顧客には、より高度な自動化を可能にするネットワークOSのAPI開放が有効である」とIDC Japan コミュニケーションズ グループマネージャーの草野賢一氏は述べている。
今回の発表について詳細は、IDCが発行した「国内データセンターネットワーク機器市場2014年の分析と2015年~2019年の予測」にまとめられている。