2014年は、ストレージハードウェア市場にダウンサイジングの傾向が強く出たため、製品販売価格の平均が下がるに伴い、サービス提供料金にも低下傾向が見られた。また、ストレージ市場には新規参入が盛んで、ベンダー間の競争が激化していることから、製品の受注を優先するためにサービス収入の最大化を追求しにくい状況であったこともサービス売上拡大の阻害要因となった。
ただし、ストレージ関連のコンサルティングの売上拡大は2014年も継続している。特に大企業向けのコンサルティングは拡大傾向にある。IT運用/ストレージ運用のテクノロジー進化により、有償サービスの導入効果が高いことが認知されていると思われる。
一方、中堅以下の企業ではサービス提案に対して反応が鈍く、有償でのサービス利用を行いにくい状況もみられている。ストレージの保守サービスについては、売上が減少したベンダーが多くなっている。
景気が落ち込んだ2009年の案件は、2014年頃に契約更新時期を迎えるはずだが、当時の導入件数が例年よりも少なかったことが、5年後の現在、マイナス要因となって表れている。また、保守サービス料金の顧客単価は下がる傾向にあるが、これにはストレージシステムがダウンサイジングの方向に向かっていることの影響が出ていると思われる。
IDC Japan エンタープライズインフラストラクチャ リサーチマネージャーの鈴木康介氏は、「2014年の国内ストレージサービス市場は、IT運用の効率化、自動化に向けた需要拡大とディスクアレイのダウンサイジングというマイナス要素が相半ばし、売上が横ばいという結果となった。今後、プライベートクラウド/ハイブリッドクラウドの構築、データ分析の高度化/高速化、第3のプラットフォーム時代のデータセントリックなアプリケーション(例えばソーシャルやIoT)の増加などの影響を受け、付加価値の高いストレージサービスの提供機会が増えるであろう。その一方で、構築サービスなど定型サービスは製品の自動化機能の進化に伴い、規模が縮小するとみられる」と分析している。
今回の発表はIDCが発行したレポート「 国内ストレージサービス市場 2014年の分析と2015年~2019年の予測」にその詳細が報告されている。