2016年以降はプラス成長を予測するが、小規模企業では比較的低い成長率に
2016年以降の国内中堅中小企業IT市場は、堅調なプラス成長を予測している。特に2020年の「東京オリンピック/パラリンピック」開催を控えて、国内では積極的な投資が見込まれることから、中堅中小企業でも業績が好調な企業が増加し、IT支出が拡大するとみている。
産業分野別では、製造業において自動車、機械などの大手企業と取引する部品メーカーで積極的なIT支出が継続しているほか、流通業でも顧客管理など情報系システムへの投資に加えて、今後「消費税増税(軽減税率)対応」のためのIT支出も見込まれる。加えて、情報サービス業では、インターネットサービス業において積極的なIT支出が継続していることから、これらの産業分野では比較的高い成長率を予測している。
ただし、従業員規模別で見た場合、中堅企業(従業員規模500~999人)など、従業員規模が大きい企業においては既存システム刷新に加えて、情報系システムの新規開発など積極的なIT支出が継続する一方で、小規模企業(従業員規模99人以下)では、一部でシステム刷新を再開する企業はあるが、多くの企業で法制度対応など最低限のIT支出にとどまるとみている。
小規模企業、または大都市圏以外でのIT支出喚起の施策が重要に
また、地域別で見た場合も、東京、大阪、名古屋を中心とした大都市圏の中堅中小企業では好調な地域経済によってIT支出は拡大するが、その他の地域の中堅中小企業では、IT支出の抑制傾向が継続し、IT支出の「二極化」が拡大するとみている。
このように2016年以降の国内中堅中小企業IT市場は、全体的にはプラス成長を予測しているが、従業員規模、地域などによってIT支出動向の格差が拡大するとみている。
IDC Japan ITスペンディング リサーチマ ネージャーの市村仁氏は、「国内中堅中小企業IT市場でさらなるビジネスの拡大を図るためには、IT支出に消極的な小規模企業、または大都市圏以外の地域の企業におけるIT支出の活性化が重要である。ITベンダーは、こ れらの企業の潜在的なIT活用ニーズを掘り起すために、モバイル、クラウドのようなソリューションを積極的に提案するなどのIT支出喚起の施策が求められる」と分析している。
今回の発表について詳細は、IDCが発行したレポート「国内中堅中小企業IT市場2015年の推計と2016年~2019年の予測」にまとめられている。