大都市圏以外の地域でのIT支出の低迷は、円安時でも円高時でも続いており、構造的な問題であるといえる。2015年の円安時には、輸出が中心の大企業が多く立地する大都市圏では、業績が好調となっている企業が多くIT投資が増加した一方で、下請け企業の多い大都市圏以外の地域では円安による原材料コストの高騰が業績を圧迫しており、IT支出を抑制した。
しかし、円高時になると販売先の大企業の業績が悪化するため、下請け企業の売上に影響が生じ、IT支出が伸び悩むことから、2016年の前年比成長率はマイナス2.9%と予測する。円安時、円高時いずれの場合でもIT支出は伸び悩む結果となっている。
IDC Japan ITスペンディング グループマネージャーの廣瀬弥生氏は、「ITベンダーは、大企業の多い大都市圏向けには、デジタルトランスフォーメーション戦略を提案、推進し、中小企業の多い大都市圏以外の地域においては、地域全体の構造的問題を変革すべく、公的機関に対し公共版デジタルトランスフォーメーションを提案していくべきである」と分析している。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「国内IT市場 地域別予測、2016年~2020年」にその詳細が報告されている。このレポートでは、国内IT市場を8地域(北海道/東北地方、東京都、関東地方、北陸/甲信越地方、東海地方、近畿地方、中国/四国地方、九州/沖縄地方)に分け、2015年~2020年の予測、IT支出動向を左右する主要なトピックなどについて、地域別に分析している。
また、「2016年 国内IT市場 地域別 動向分析アップデート:2015年第4四半期の実績に基づく」では、さらに各地方の動向について詳細に分析している。なお、調査レポートに加えて、国内IT市場を地域別(上記8分類)、製品別(7分類)、産業分野別(13分類)、企業規模別(4分類)で分析可能なピボットテーブルを提供している。