第3のプラットフォームなどを活用した戦略的IT投資の実施では、情報システム部門が中心的な役割を担う企業が多いものの、ユーザー部門や専任組織が関与することも多く、従来のIT投資よりも情報システム部門とステークホルダーの関係は複雑化している。
戦略的IT投資における情報システム部門とユーザー部門の関係を分析すると、ユーザー部門が主導的な役割を担い、情報システム部門が後方支援する垂直分業型や、両者が協業する水平協業型など6種類のパターンに分けることができる。
戦略的IT投資をすでに実施/実施予定の企業では、情報システム部門は拡大傾向にあり、業務効率化や人材育成を進めつつ、より早い段階から戦略的IT投資に関与する傾向が見られる。
しかしながら、IT予算の不足(実施予定企業の29.2%)、IT戦略の方向性が不明確(実施予定企業の33.8%)、情報システム部門の人材不足(実施企業の65.5%)といった課題に直面する企業が多く見られる。
IDC Japan ITサービス リサーチマネージャーの木村聡宏氏は、「ITサービスベンダーは国内企業の戦略的IT投資の推進パターンを、情報システム部門だけでなく、ステークホルダーとの関係性などを複合的に捉え、変化に対応した提案、変化を先取りした提案を進めるべきである」と述べている。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「2016年 第3のプラットフォームがもたらす 国内企業情報システム部門の変化」にその詳細が報告されている。このレポートでは、従業員数1,000人以上の大企業の組織やIT投資に関するアンケート調査結果/直接取材結果をもとに、国内企業の情報システム部門の現状、国内企業の戦略的IT投資の実施状況、戦略的IT投資への情報システムの関与と変化について分析を行っている。