ファーウェイは、「HUAWEI CONNECT 2016」において、同社のクラウド戦略の全体像を明らかにした。ファーウェイの輪番CEO兼取締役副会長である胡厚崑(ケン・フー)氏は、同カンファレンス最初の基調講演で、ファーウェイはインテリジェントな世界を実現するイネーブラーとなり、またそれを推進するドライバーとなることを目指すと表明した。
胡氏は、ICTがインテリジェントな世界の基礎となると述べ、これを次の3つの要素に分けて説明した。あらゆるモノが周囲の状況を感知できるようにする「感覚器」としてのデバイス、すべてのモノをつなげるネットワーク、すべてのモノの背後で動きインテリジェンスの源泉となるクラウドの3要素になる。このデバイス-パイプ-クラウドの3要素が協調して動作するひとつのアーキテクチャこそが、将来に向けたファーウェイの投資における戦略的フォーカスになるという。
胡氏はまた、次のように述べている。
「今後5年から10年で、多様なユース・ケースに自動で適応するさまざまなスマート・デバイスが登場するでしょう。すべての人とモノが周囲の状況を感知できるようになり、これらのスマート・デバイスがインテリジェントな世界への入口となるでしょう。また、光ネットワークや無線ネットワークはユビキタスで超高速なネットワーク接続を提供するでしょう。一方で、世界各地で互いにつながりあったコンピューターは膨大なデータを集め、クラウド上で『デジタル・ブレイン』を形成するでしょう。この『デジタル・ブレイン』はリアルタイムで進化し、老化することもなく、超高速通信とスマート・デバイスを介して人々やマシンが必要とする知性をいつでも提供することができるのです」
ファーウェイは、こうした方針に基づき、統合されたオープンなアーキテクチャをベースとする、デリバリーと運用が容易なハイブリッド・クラウド・ソリューションを提供している。オープンで安全性をの高いこうしたソリューションは、エンタープライズ・グレードのパフォーマンスをワンストップの統合環境で実現するもので、顧客の課題を直接的に考慮して設計された多様な機能を備えているという。
またファーウェイは、顧客への価値創出を軸としたクラウド・エコシステムを発展させ、エコシステム内のあらゆる組織が独自の付加価値で貢献することを重視している。胡氏は、ファーウェイが自社のみであらゆるクラウド・ソリューションを提供することはなく、エコシステムのイネーブラーとして、ユーザーが求めるさまざまなタイプのクラウド構築を支援することを目指すと強調した。
現在、クラウド分野で生まれた企業が最初のクラウド時代(クラウド1.0)の発展をリードし、世界各地で産業界に破壊的イノベーションをもたらしている。胡氏は、今後10年はクラウド2.0の時代となり、無数のインダストリー・クラウドが登場するとの考えを示したうえで、2025年までにすべてのエンタープライズITソリューションがクラウド化され、85%以上の企業アプリケーションがクラウド・ベースになるとのファーウェイの予測を紹介した。こうした時代では、あらゆる企業が自社の中核事業をクラウドに統合し、自社に最適な形のクラウド・ソリューションを追い求めるようになるという。
胡氏は、ファーウェイ自身のクラウド化における経験の一部を紹介し、クラウドから価値を創出することが重要だと強調したうえで、企業が価値を創出するための3つの方法を提唱した。
「はじめに、企業はICTに対するマインドセットを変えることが不可欠です。 企業はICTを業務支援システムではなく、ビジネス創出のための中核システムとして捉え、テクノロジーを積極的に活用してビジネス・プロセスを刷新すべきです。2つめに、企業は人材に対する考え方を改め、自社の社員に基礎的なICT知識、とりわけクラウド技術に適用できるような知識を身につけさせることが必要です。3つめとして、企業は大きなビジョンを持って小さなアクションを積み重ねていかなければなりません。周到かつ段階的な改善によって前進していけば、新たなテクノロジーやそれがもたらす成功へのゆるぎない自信を構築できるでしょう」
「HUAWEI CONNECT 2016」には、ファーウェイの3人の輪番CEOである胡厚崑(ケン・フー)氏、徐直軍(エリック・シュー)氏、郭平(グォ・ピン)氏が基調講演に登壇した。さらに、インテルCEOのブライアン・クルザニッチ氏、インフォシスCEOのビシャル・シッカ氏、SAP上級副社長のトーマス・ザウアーエシッヒ氏、MITスローン経営大学院 主席研究員アンドリュー・マカフィー氏などが基調講演で登壇した。