マクニカは技術専門商社として近年ではAI、IoT分野に注力している。製造分野でのデータをフォグ・コンピューティングで収集、解析するFOG HORNや、AI分野ではABEJA、ALBERTなどの機械学習のプラットフォーム企業とのパートナーシップで事業を展開してきた。
今回、従来のグループ会社のAI事業を統括し、強化していくことを発表した。事業リーダーの一員として、機械学習、データサイエンスの分野で著名なアヴカッシュ・チャウハン氏を迎え入れた。
アヴカッシュ氏はマイクロソフトを経て起業し、その後、オープンソースの機械学習エンジンをエンタープライズ分野に適用する「H2O.ai」をリードしてきた人物。今回の事業発表とともに、4月4日から開催されている「AI・人工知能 EXPO」でも講演をおこなった。

Avkash Chauhan(アヴカッシュ チャウハン)
アヴカッシュ氏が提唱するAI、機械学習の方法論は、複数の機械学習アルゴリズムを組み合わせ、データから最適な方法を自動的に選択しモデルを作成するフレームワークをベースにしている。
複数のデータソースから収集されたデータを分析しモデルを作成するためには、単一のアルゴリズムではなく複数の手法を組み合わせ、最適なエンジンを選択する必用がある。従来、このプロセスでは、データサイエンスとソフトウエアの両方の専門スキルが必用とされ、その比率は「80:20」の比率だとアヴカッシュ氏は述べる。今後の日本のAI市場を考えると圧倒的に不足するデータサイエンスのスキルを、今回マクニカが発表した「AI Adoption for any organization with Rapid Prototyping(ラピッドプロトタイピングによる企業へのAI適用)」という構築方法で補っていくのだという。

AI Adoption for any organization with Rapid Prototyping
また、企業の機械学習の利用では、作成されたモデルがどのような方法やプロセスで生み出されたかを説明することが重要となる。
アブカッシュ氏は、このプロセスを「マシンラーニング・インタープレタビリティ」(MLI)と呼び、選択手法やモデル構築の根拠を可視化する機能を組み入れているという。

マシンラーニング・インタープリタビリティ(MLI)(「 AI・人工知能EXPO」マクニカブースでの展示より)
機械学習を自動化するツールの中で、マクニカの差別化のポイントはデータサイエンティストではなくビジネスユーザーが使えるものである点だという。
今回のAIソリューション事業の本格始動に際し、マクニカは「macnica.ai」というブランドを立ち上げた。近いうちに、新たなソリューション製品を発表していくという。
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京部康男 (編集部)(キョウベヤスオ)
ライター兼エディター。翔泳社EnterpriseZineには業務委託として関わる。翔泳社在籍時には各種イベントの立ち上げやメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在はフリーランスとして、エンタープライズIT、行政情報IT関連、企業のWeb記事作成、企業出版支援などを行う。Mail : k...
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