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マルウェア検出数に異変、攻撃者の手法にも変化--半期レポート

 キヤノンITSは8月22日、「2018年上半期マルウェアレポート」を中心に、マルウェアの検出状況や最新の脅威動向などについて発表を行った。マルウェアの検出数は前半期から大幅に減少した反面、特定のマルウェアの急増も確認されている。同社のマルウェアラボのマネージャーでありシニアセキュリティリサーチャーである石川堤一氏が発表した。

マルウェアの検出状況に大きな変化

 石川氏はまず、2018年上半期のマルウェア検出状況について説明した。このデータは、同社が提供するセキュリティ対策ソフト「ESET」の日本国内のユーザーからのフィードバックに基づいたもの。これによると、マルウェアの検出数は2017年下半期から約半数に激減している。形式別でみると、すべての形式で検知数が減少しているが、特に「VBS(VBScript)」が大幅に減少している。VBSは前半期まで、「Locky」や「GlobeImposter」のダウンローダーとして多く検出されていた。

キヤノンITSの石川堤一氏
キヤノンITSの石川堤一氏
形式別のマルウェア検出数
形式別のマルウェア検出数

 同半期に最も多く検出されたマルウェアの形式は、前半期と同様に「JS(JavaScript)」であったが、その内訳も大きく変化している。特に、コインマイナー(仮想通貨のマイニングを行うスクリプト)である「JS/CoinMiner」が前半期比330%、リダイレクター(別のサイトに強制的に誘導するスクリプト)である「JS/Redirector」が前半期比270%と、大きく増加した。一方で、ばらまきメール型でランサムウェアに感染させようとする「JS/Danger.ScriptAttachment」は前半期比でわずか2%と激減している。

JavaScript形式・検出名別マルウェア検出数
JavaScript形式・検出名別マルウェア検出数

 検出名では、最も多かったのは「VBA/TrojanDownloader.Agent」であった。これは、「発注書」や「請求書」などの件名のメールで拡散するExcelファイルに仕込まれているもの。日本では3月15日、5月15日および16日に突出して確認されており、現在でも継続して検知されている。世界的に見ても、日本が34%と最も多く、2番目に多いイタリアとポーランド(ともに11%)を合わせると全体の半数を超える。

 検出名で2番目に多かった「JS/CoinMiner」は、1月26日と2月13日にピークがあった。世界的に見ると日本は2%と12位であるが、あらゆる国で検知されている。3番目に多かった「HTML/FakeAlert」は、“まとめサイト”などから誘導されるWebページで、PCやスマートフォンに「ウイルスに感染しています」などの偽の警告画面を表示する。

 この画面には偽のウイルス対策ソフトへのリンクやサポートへの電話番号が記載されており、これらに誘導することでさらなる被害をもたらそうとする。偽の警告画面は、さまざまな言語が確認されており、音声を再生するパターンもあるという。世界的に流行しており、日本は11%で3番目に検出が多かった。

さまざまな言語で表現された詐欺サイトの例
さまざまな言語で表現された詐欺サイトの例

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攻撃対象はインフラから「人」へ

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この記事の著者

吉澤 亨史(ヨシザワ コウジ)

元自動車整備士。整備工場やガソリンスタンド所長などを経て、1996年にフリーランスライターとして独立。以後、雑誌やWebを中心に執筆活動を行う。パソコン、周辺機器、ソフトウェア、携帯電話、セキュリティ、エンタープライズ系など幅広い分野に対応。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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