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ガートナー、IT部門およびユーザーに影響を与える2019年以降に向けた10の重要な展望を発表

2018/11/13 18:00

 ガートナーは、米国で開催した「Gartner Symposium/ITxpo 2018」において、IT部門およびユーザーに大きな影響を与える2019年以降に向けた重要な展望を発表した。これらの展望は、デジタル・イノベーションの継続から生まれる3つの根本的な変化に関わるものだという。

 3つの根本的な変化とは、「人工知能(AI)の普及と関連スキルの不足」「組織文化の進展」「プロセスのプロダクト化」であり、これらは、デジタル能力が向上すること、さらには、テクノロジの概念が絶えず変化することによってもたらされる。

 ガートナーが発表した重要な戦略的展望トップ10は以下のとおり。

■2020年末にかけて、AIプロジェクトの80%は、組織内のごく一部の稀なスキルを持つ専門家によって執り行われる「魔法」であり続ける。

 この5年間、AI技術の人気の高まりを受けて、AIプロジェクトを推進する企業や組織が全世界で増加している。しかし、変化のペースはあまりにも早く、有能なAI専門家の増員が間に合わない。AI技術に関して必要とされるのは、厳しい技術的要件を満たした者だけでなく、数学を使いこなせるデータ・サイエンティスト、創意に富むデータ・エンジニア、緻密な業務オペレーションの専門家、洞察力のある物流担当者と、多岐にわたる人材になる。

■2023年までに、AI顔認識機能により、成熟市場における行方不明者は2018年に比べて80%減少する。

 顔照合と3D顔画像は今後数年のうちに、子どもや高齢者、何らかの障害を持つ人など、弱い立場にある人々の情報を取得する手段として重要な選択肢になる。一般的に考えられるような、大掛かりな捜索によって不特定多数の中から行方不明者を見つけるのではなく、AI顔認識テクノロジを利用して不明者を特定できるようになる。

■2023年までに、慢性疾患患者は、AIを搭載したバーチャル・ケアに登録するようになり、米国内の救急診療の件数は2,000万件減少する。

 地方などで顕著になっている臨床医の不足により、医療機関は医療サービスを提供するための新たなアプローチを模索している。バーチャル・ケアは多くのケースにおいて、従来の対面式医療サービスより利便性もコスト効果も高いことが分かっている。

■2023年までに、組織の25%が、インターネット上のハラスメントを防止する目的で合意書への署名を従業員に要求するが、その取り組みの70%は失敗に終わる。

 企業や組織の評判を損ねかねない行為を防止するため、雇用者は、従業員によるソーシャル・メディアの使用に関する行動指針(ハラスメント/差別対策基準など)を強化する必要がある。対応の1つとして考えられるのが、インターネット上のハラスメント、すなわち「ネットいじめ」を行わないことに合意する宣誓供述書への署名を従業員に求める。または、従来の行動規範における労使の合意を更新し、こうしたハラスメントに関する項目を盛り込むべきだ。

■2022年末にかけて、ビジネスの最前線で意思決定を下すチームが、ダイバーシティとインクルージョンを備えた組織文化と真剣に向き合っている組織の75%は、財務目標を上回る。

 部門を問わず、ビジネス・リーダーであれば、組織文化におけるダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(受容性)(両者を合わせて「D&I」と称する)の実現がビジネスのメリットとなることを理解している。今日のビジネスでは、できるだけ現場に近いレベル、理想的にはビジネスの最前線で仕事をするスタッフのレベルで、意思決定の質とスピードを上げることが重要な要件になっている。

■2021年までに、パブリック・ブロックチェーンの75%が、「プライバシー・ポイズニング」の被害を受ける(プライバシー法への準拠を阻害する個人データが挿入される)。

 プライバシーの問題は、「プライバシー・バイ・デザイン(Privacy by Design)」によって管理することが必要となっている。これを怠ったままブロックチェーン・システムを実装する企業は、チェーンの完全性を損ねずには削除できない個人データを抱えるリスクを負う。

 パブリック・ブロックチェーンとは、準無政府状態であるインターネットなどの自律システムを指している。インターネットに対しては、訴訟を起こすことも、伝送データに対する説明責任を負わせることもできない。これと同様、パブリック・ブロックチェーンにも、それが取り扱うデータに対する説明責任は負わせられない。

■2023年までに、eプライバシー規制によってCookieの使用が削減されてオンライン・コストが増加するため、現在のようなインターネット広告収入は得られなくなる。

 EUの一般データ保護規則(GDPR)や今後施行される法令(2018年成立のカリフォルニア州 消費者プライバシー法、eプライバシー規則など)によって、Cookieの使用が引き続き制限され、インフォームド・コンセントの枠組みが揺らぐ。今日のように、Cookieの使用に対する同意を個人に求める単純なやり方では不十分になる可能性がある。Cookieによる追跡の対象と追跡結果の使用方法に関して、個人が明確な同意を示す必要が生じると予想される。

■2022年末にかけて、クラウドの経済性および柔軟性を活用し、社内の実行能力を対外的なプロダクトとして収益に結び付けることが、デジタル化を推進する鍵となる。

 アプリケーション・ソリューションを拡大させる能力は、クラウド・プロバイダーが提供してくれるし、アプリケーションの配布と一部のマーケティング活動は、市場で支配的な力を持つアプリ・ストアが担ってくれる。

 単純で利用しやすいクラウド向けツールが登場し、プロダクトとしてのアプリケーションのサポートおよび機能強化が簡単になった。さらにクラウドは、財務面においても、これまでの「営業外損益」ではなく、中核ビジネ スが生み出す「営業損益」にインパクトを与えるようになりつつある。テクノロジの採用に 積極的な企業が、社内のプロセスおよびデータを市場で提供可能なソリューションに変え、デジタル化による収益を出し始めれば、ほかの組織もこれに追随するようになる。

■2022年までに、デジタルの巨大企業が有する「ゲートキーパー」の地位を活用する企業は業界平均40%の世界市場シェアを獲得する。

 全世界で支配的な市場シェアを獲得し維持しようとしても、その途上にはデジタルの巨大企業(Google、Apple、Facebook、Amazon、Baidu、Alibaba、Tencent)とそのエコシステムが待ち受けており、これらのうちの1社以上と取引関係を結ぶ必要が生じる可能性が高くなる。こうした巨大企業は、コンシューマー市場で既に大きなシェアを持ち、「ゲートキーパー(門番)」としての地位やそのインフラストラクチャを使用してB2B分野にも参入し始めている。

■2021年末にかけて、ソーシャル・メディア上で起こったスキャンダルやセキュリティ侵害が利用者に長期的な影響を与えることは、事実上なくなっていく。

 利用者がデジタル・テクノロジを使用するメリットは、将来の潜在的な、かつ未知のリスクを上回ることを、この展望は示している。コンシューマーによるデジタル・テクノロジの採用は拡大し続け、テクノロジの利用に関して一線を越えてしまった企業や組織に対して反発が起こったとしても、それが長続きすることはない。

 ガートナーは、11月12~14日に「Gartner Symposium/ITxpo 2018」をグランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール(港区高輪)で開催している。この記事の内容については、「ガートナーの重要な戦略的展望:不確実性を乗り越えて実践せよ」(14日(水)9:00~9:45、31B)で紹介される予定だ。

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  • EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)

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