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ガートナーの海外アナリストに聞いてみた

データ保護や組織多様化に取り組むことはデジタルビジネスを加速させる一手だ


 デジタルビジネス戦略に明るいガートナーのディスティングイッシュトバイスプレジデント、アナリストのマーク・ラスキーノ (Mark Raskino) さん。今後グローバル全体でテクノロジーへの投資はどうなっていくのか。また、日本のデジタルビジネス戦略は今後加速させられるのかを訊いた。

景気後退、地政学リスクーー今CIOやIT部門に求められているものは

――2019年の後半から2020年にかけて、CIOやIT部門に対して一番求められているものについて教えていただけますか。

 CIOに対して、経営幹部が求めているのは「マクロ的な観点で経済がどうなるのか、ビジネス環境がどう変わっていくのか」という情報になってくると考えています。それをもとに、経営幹部は今後ビジネス計画を推進しなければいけないのかの判断を下したいと考えています。

 現時点では2019年の後半から2020年にかけて、全体観として経営状況が後退するという予測がされているんですが、各企業の経営幹部は、具体的にどれくらい苦しい状況に追い込まれるかは未知の状態です。

 もし本当に不況が再来し長引くのであれば、経営幹部としては、デジタル部門やIT部門、いわばデジタルトランスフォーメーションに対する支出、投資を限定的にしなければいけなくなるかもしれません。近年、経営幹部というのは「デジタル」と名のつくものであれば、比較的オープンに投資を行ってきていました。本当にその投資が必要なのかをあまり疑問視せず投資していた程です。ただその姿勢は変わりつつあります。テクノロジーや、イノベーションを引き起こすようなプロジェクトだったり、あるいはイノベーションセンターといった領域に何年か投資を継続しているが、その成果が感じられないよという声をビジネス部門が上げつつもあります。

 景気が今後後退していくであろうという予測とはまた別に、最近は、国と国の関係性というのも変わりつつある。これは貿易などの事業の行われ方にも大きな影響を与えます。経営幹部は、今後どの市場で自分たちの製品を売っていくのがよいのか、あるいはどの市場で製造していくのがよいのかを改めて考え直す必要がある。すでに、グローバルのCIOの幾人かは貿易や関税の動きに合わせて大きな影響を受けることを予測している。やはり企業の中では組織の再編などが行われていくと予測されます。現在、私たちが直面している、あるいはしようとしている環境は、これからも継続的に投資を行っていくだけの投資資源がなくなってきていることに起因するDXの進展の不十分さへの苛立ちと、地域的なバランスの変化です。

 現在CIOは不景気による投資の減少と地政学的課題という大きな2つの課題を課せられています。それぞれ相反する課題として捉えるのではなくどのように統合して取り組むべきかを考えなければなりません。

 ただし悲観的になりすぎる必要はありません。あくまでも仮説ですが…、例えば、今後も継続、あるいは今よりもさらに、米中関係が複雑になり、中国から米に対する輸出が非常に困難な状態になったとしたら、企業は生産ベースあるいは業務ベースというのを中国からベトナムへ切り替えることを検討することが必要があります。仮に、ベトナムでのオペレーション経験が今までない企業の場合、新規にベトナムに拠点を構築することになる。これから構築するのであれば、デジタルを視野に入れてオペレーション構築するの自然なことです。前向きに捉えれば、全体的にシナジー効果の得られるような、新しいデジタル活用の機会であるとも言えます。

次のページ
データ保護への取り組みでデジタルの信頼性を高めビジネスを促進させる

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Operation Online編集部(オペレーション オンライン ヘンシュウブ)

Operation Online 編集部
翔泳社 EnterpriseZine(EZ)が提供する企業の「ITマネジメント」と「システム運用」に特化した専門メディア「オペレーションオンライン(Operation Online)」編集部です。「オペレーションオンライン」では、IT戦略/企画、システム基盤...

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