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新Unity XTシリーズは性能も効率性も妥協しない マルチクラウド環境にも効果的

実現したのはパフォーマンス、効率性、マルチクラウド

 ここまでハードウェア中心に改善点を見てきたが、実際にどのようなことが可能になったのか、パフォーマンス、効率性、マルチクラウドの3つの観点から見ていこう。

パフォーマンス

 Stevanoski氏は「パフォーマンスといっても、IOだけとは限りません。どれだけ短時間でデプロイが可能か、また将来を見越したアーキテクチャや柔軟性も重視しています」と話す。

 まずはIOPS。先述したように、従前モデルと比較して最大2倍のIOPSが出せるように改良された。「さらに重要」とStevanoski氏が強調するのがレイテンシーだ。こちらは従前の1/4まで縮めることができた。Stevanoski氏は「似たような価格帯の競合他社製品と比べると、IOPSが67%高速」と強調する。

 実際の現場でのワークロードも考慮した従前モデルとの比較結果も示された。Microsoft SQL Serverでは、読み取りでは最大29%、書き込みでは42%の改善が見られた。書き込みが集中する仮想デスクトップ(VDI)では、52%の改善を実現できた。Stevanoski氏は「書き込みのパフォーマンスが向上している点はぜひご注目ください。長期的な投資として価値があると考えていいと思います」と指摘する。

 パフォーマンス改善に寄与しているのがIOモジュールだ。新シリーズでは25Gb iSCSI光に対応可能となっている。Stevanoski氏は「まず10Gbを使い、将来25Gbに切り替えることもできます」とメリットを挙げる。ハイブリッドモデルでは従前の6TBからNL-SASの12TBのハードディスクへ容量を拡張した。

 さらにStevanoski氏は「こうした機能拡張もさることながら、短時間でデプロイできることも重視しています」と付け加える。一般的に新しいハードウェアを購入すると、箱から出して使えるようにするまでそれなりに時間がかかる。

 しかし新シリーズでは現場での展開の速さにも工夫をこらしている。Stevanoski氏は「様々な複雑性を排除し、25分で箱から出して稼働できるようにしています。ここは優れたポイントだとお客様からもご評価いただいています」と話す。

効率性

 「パフォーマンスがどれだけ優れていたとしても、そこにスマートに効率を出せる方法がなければ意味がありません」とStevanoski氏は指摘する。効率性を高めるためにどのような技術を盛り込んでいるかを見ていこう。

 大きく分けてストレージの効率性、シンプルなマネジメント、それからマルチプロコトルだ。これらを組み合わせることでトータルの効率性を高めるように設計されている。

 まずはストレージの効率性。物理的には同じでも、どれだけのデータを格納できるかでストレージの効率性が変わってくる。Unityではインライン重複排除と圧縮にて、最大で5:1のデータ削減が可能だ。システムの実効容量は85%としている。実際にはワークロードや環境にもよるため、デル テクノロジーズは3:1ストレージデータ削減を保証している。

 新シリーズのオールフラッシュモデルでは重複排除機能に改善が加えられ、さらなる効率性向上を実現している。従前モデルから類似データブロックの複数のコピーが排除されるなど高度な重複排除機能が搭載されていたが、これには多くのCPUリソースを消費するため、新シリーズではCPUを増やすことでパフォーマンス向上させている。

 運用管理面でも効率性が高められている。もともとUnityはブロックベースのLUN、ファイルシステム、仮想ボリュームのVVOLなどあらゆるデータタイプをまとめて格納できるストレージだ。これをUnisphere/Unisphere Centralでシンプルに管理できる。HTML5でできたUIでブラウザからアクセスできて、直感的なワークフローとなる。管理できるUnityアレイは最大1000台まで。

 ほかのソフトウェアとの連携だとデルテクノロジーズのバックアップソフトやVMwareのソフトウェアはもちろんのこと、Microsoftなどサードパーティー製品との統合も図られている。ほかにもコマンドラインからのアクセス、APIも利用可能なのでプログラムからの連携も可能だ。

 運用管理者にとってうれしいことがまだある。管理用のGUI画面にはオンラインヘルプデスクが組み込まれており、ドキュメントの検索やサポートとのチャットなども実現している。こうした利便性向上も運用管理の効率性につながる。

マルチクラウド

 Unityはミッドレンジストレージ製品だ。HCIならともかく「マルチクラウド」でUnityが出てくるのは意外かもしれない。Stevanoski氏は「ワークロードは常にいろいろ存在します。時には柔軟性があるストレージも考えていく必要があります。例えばNASで重複が多い場合。あるいは、大きなキャパシティフットプリントがあるアプリケーションでは、専用のストレージプラットフォームとクラウドプラットフォームとの統合機能が重要になります」と説明した。

 マルチクラウドの観点で大きな役割を果たすのがVMware Cloud Foundation(VCF)との統合だ。デルテクノロジーズのストレージ製品群はVCFと統合をできる唯一かつ最良の選択肢となる。

 クラウドがVCF(プライベートクラウド)ではなく、AWSのパブリッククラウドでもUnityは力を発揮できる。なぜならUnityはVMware Cloud on AWSからレプリケーションで利用できるからだ。パブリッククラウドのソフトウェアデファインドストレージとオンプレミスのストレージの接続は、VDIのホームディレクトリ、テストや開発、レプリケーションサイトといった用途に向いている。ファンアウトトポロジーとカスケードトポロジーを組み合わせて多様なトポロジーを組むことも可能だ。

 クラウドとの接続という点では、さらにDell EMC Cloud Tiering Applianceがある。例えばオンプレで利用しているアプリケーションのデータをクラウドにプッシュするといった使い方ができる。ポリシーで設定すれば利用可能なので、アプリケーションに変更を加える必要はない。スナップショットの転送、あるいは長期的な保存のための転送などで使えそうだ。なおクラウドへの転送時やクラウドでの保存には暗号化を施せるため、セキュリティ的にも安心だ。

 Unityといえば、欠かせないのがCloudIQ。世界中で運用されているUnityから各種情報を収集し、キャパシティ予測や故障の予兆を検知する。ブラウザからのアクセスはもちろん、iOSまたはAndroid向けのアプリもあるためモバイル端末からの利用も可能だ。もともとCloudIQはUnityから始まったシステムなので、Unityとの相性はいい。

次のページ
安心して使えるミッドレンジのストレージ

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この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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