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異なるイメージを具現化、新たなアイデアをレゴで再構築する―SaaS、サブスクビジネスに生かす思考術

 今回は「サービス管理の価値定義および関係者間合意」をテーマに、ビズモデルデザインの園田雄史氏と対談し、IT運用組織の果たすべき役割を明らかにする。園田氏が取り組んでいるフレームワーク、バリュー・プロポジション・キャンバスや、LEGO(R) SERIOUS PLAY(R)メソッドといったものをどのようにサービス管理に活用できるかを伺った。(後編)  デジタルトランスフォーメーションの時代を迎え、ビジネスにおけるIT技術活用は不可欠だ。IT組織においても進化が求められている。ITの組織、ITインフラ構築と運用のこれからについて、IT組織変革支援や複数ベンダーの管理手法に詳しいアクセンチュア テクノロジー コンサルティング本部 インテリジェントクラウド&インフラストラクチャグループ シニア・マネジャーの加藤明氏と探る。

同じ課題に対して構築するイメージの差異からアイデアを生み出す

加藤氏:最近は価値創造よりも価値共創という言葉をよく聞くようになってきました。顧客とともにコラボレーションして価値を生み出していく――こういった考え方は現在の主流でもあるかと思います。そういった中で、前回ご説明いただいたビジネスモデル・キャンバスは確実に使えるなと思いました。これらが既存のサービスやビジネスを上手く整理するのに有効なのは理解できるのですが、まったく新しいビジネスを考える際にも使えるものでしょうか。

園田氏:実際の例として、顧客と共通のビジョンが明確でなかった場合のアイデア出しにLEGO(R) SERIOUS PLAY(R)という手法を使ったことがあります。

加藤氏:私もデザインシンキングであればある程度理解はしているのですが、LEGO(R) SERIOUS PLAY(R)については実はよく分かっていません。まずはLEGO(R) SERIOUS PLAY(R)についても簡単に説明してもらえますか。

園田氏:LEGO(R) SERIOUS PLAY(R)は手と頭を連携させて新たな思考を構築、再構築していく教育理論であるコンストラクショニズムに基づいた手法です。まずグループに対して問いを立て、次に各々手で作品を作る。そしてその作品のストーリーを語ることで共有し、その作品に質問されることで振り返る。この4つのステップを繰り返します。手で作ると何が起きるのか。それを言葉で説明するのは難しいので、ちょっと実践してみましょう。加藤さん、このレゴを使って「アヒル」を作ってみてください。

  同じ「アヒル」という課題で限られたパーツであっても、私が作ったものと加藤さんが作ったものでは違いますよね。同じ言葉から構築するイメージは人によって違う。この具現化されたイメージの違いを共有します。さらにこのパーツを選んだ意味や、関連性からストーリーに発展させます。同じ問いから異なる「アヒル」という作品ができるように、同じ問いからできる作品が異なることから、その違いは何かを共有することで、問いに対する新しい認識を再構築していくことになるのです。そうすると、作品に対する深みも変わり、ものがあることでさらに発想が広がっていくのです。

レゴを用いて作られたアヒル

加藤氏:以前体験した時のお題は、ITサービス運用の中の課題をレゴで表現してみましょうというものでした。今回よりも複雑で、作る人によって出来上がるものが全く違いましたね。会議の場では、参加者それぞれが目の前の課題の捉え方をどのように感じているのかがなかなか意見として出ないことが多いですが、とりあえず目の前のレゴに向き合い、感覚を頼りに形にしてみるという過程を通じ、自分でもこういうことを考えていたのかと頭の中を整理できるようなところがありました。

園田氏: ですね。ビジネスモデル・キャンバスで進める際に、思いついたことを付箋に書いて貼ってもらいますが、付箋に言葉が出てこない人がいます。その人のボキャブラリや知識に依存する部分もあり、うまく言語化できないのです。それと、ビジネスモデル・キャンバスを書いてもらうと、教科書通りのビジネスになっていて、ロジカルだけど心に刺さらないこともあります。だからこそ、言葉での表現ではどこまでできるかに疑問がありました。そこでレゴを使う方法を学んだのです。自分の抽象的な考えを人に伝えるのはものすごく大変です。レゴを介することで、自分の考えていることが目の前に形としてできあがる。それについて語れば良いので、語りやすい。作ったものがあれば、しゃべりやすいのです。また人との会話では、話す相手でも内容が変わります。レゴを使うと自分の考え方をストレートに出すことになり、ある程度ニュートラルに表現できるものだと思います。

加藤氏: すぐにでも試したいのですが、LEGO(R) SERIOUS PLAY(R)を実際に進める際には、まずは自分のチームなど小さく始めることが多いのでしょうか。経営層なども巻き込んで行うこともできますか。

園田氏: 何を目的にやるか次第だと思います。関わる人全員で参加するのが理想です。とはいえ、一度にできる人数に制限もあるので、その辺りは組み合わせになります。顧客と一緒にやったものとしては、その企業のビジョンを作る目的で取り組んだことがあります。

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SaaS、サブスクに生かせるスキルを形成

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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