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Data Tech 2024

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プロが探る「これからのIT運用」

「ゴールのない課題に取り組む」―IT運用データはどうやってビジネス価値を生み出すのか

 「データのビジネス活用」をテーマに、Splunk Services Japan ITOAスペシャリストの松本浩彰氏に、IT運用組織の果たすべき役割とビジネスに貢献するIT運用のあり方、そしてそれを可能にする方法について伺った。(前編)  デジタルトランスフォーメーションの時代を迎え、ビジネスにおけるIT技術活用は不可欠だ。IT組織においても進化が求められている。ITの組織、ITインフラ構築と運用のこれからについて、IT組織変革支援や複数ベンダーの管理手法に詳しいアクセンチュア テクノロジー コンサルティング本部 インテリジェントクラウド&インフラストラクチャグループ シニア・マネジャーの加藤明氏と探る。

データ分析で何をしたいかを明確に

Splunk Services Japan ITOAスペシャリスト 松本浩彰氏(写真左)
前職はBMCソフトウェア ITサービスマネージメントに20年ほど従事

加藤氏: 松本さん、本日はよろしくお願いします。本日は、ITSM(ITサービス管理)の普及に長年尽力されている松本さんが、ビッグデータ解析プラットフォームを提供しているSplunkに移られたとお聞きして驚きました。その転職理由にも関わってくるところかとは思いますが、ITサービス管理とデータ活用の関連性についてお話をお伺いしたいです。

松本氏: よろしくお願いします。私にとって、ITSMの普及はライフワークの1つです。しかし10年以上続けてきて不毛に感じることもありました。というのも、エンドユーザーがITSMに対しリアリティを持っていないと感じることが多々あり、この状況がずっと続くのかと…。 言葉ではITSMについて語っても、ビジネスでメリットを発揮している例は少ないのですよね。たとえばインシデント管理や変更管理を始めてみても、継続的なサービス品質の改善プロセスまでなかなか発展しません。継続的な改善には、課題を探し続け改善を繰り返す必要があります。本来はそれがITSMのはずなのに、実際はそこまで至らないのです。ただ、改善の課題を自ら設定するというのは想像力を必要とするので難しいとも言えます。そこでIT運用に関する状況をデータ分析という分野に取り組むことで、そこに貢献できるのではと思いました。Splunkでのビッグデータ解析は、大きく分けてビジネス、セキュリティ、IT運用の3つの領域があり、ITOA(IT Operations Analytics)スペシャリストとしてIT運用分析コンサルティングを担当としています。

加藤氏: 課題をあぶり出すための分析、目標に対しどこまでできていて何が課題か、そういったことを可視化する。そのためにデータの重要性を感じたということでしょうか。

松本氏: はい。ITSMにおいて課題は何かと考えた際に、これが課題ですと次々でてくるわけではないですよね。構造としては、先にビジネス課題があり、その中にITの課題があり、運用管理の課題がある。運用管理を変える時、先立つ課題はなにかを明らかにしなければなりません。その際、データへの依拠は当然と思いますが、日本にはそういったトレンドがありません。ここは海外との大きなギャップだと思います。

加藤氏: なるほど。たとえばServiceNowを使い蓄積されたデータをSplunkに渡し、それを分析するとして…。具体的にはどういう変化が起こるのでしょうか。

松本氏: ServiceNowを利用して得られるデータは、極めて有効です。例えばITILプロセスのトランザクションデータ(インシデントや変更など)を分析し、ITILプロセス自体の効率化することができます。また、ITILプロセスによって記録されあぶり出されたIT環境の現状を可視化する事ができるでしょう。しかし、IT運用の領域でデータ分析の利用範囲はITILツールの中にあるような局所的なデータだけではないので、もっと広く考えるべきだと思います。IT運用分析はITSMの概念から入るというよりも、ビジネス課題に対して何をするべきか、それに対する気づきをデータから発見するという発想で広く捉えて欲しいです。そういったデータ分析を行うプラットフォームが必要なのだと思います。

加藤氏: データ分析のプラットフォームとなると、顧客としてはIT部門よりも経営企画やマネジメント層の人たちが多くなるのでしょうか。

松本氏: 経営企画部門の人たちと話すことはたしかに多いですね。データをビジネスに生かすという話は、そういった人たちのほうが興味や理解があります。データ活用はITの人たちだけでなく対象が遙かに幅広いので。とはいえ、グローバルで見ると4割くらいのユーザの方がSplunkをIT運用分析で利用しています。国内でお会いするIT企画系のお客様からの発信で、IT運用部門の方に繋がりSplunkの利用が検討されるようなケースも最近みられるようになってきています。

加藤氏: 企画部門をきっかけにして、IT部門も含めさまざまな人がデータ分析に関わり始めているのですね。

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既にビジネスの価値創出に活用できるデータがたくさんある

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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