SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

直近開催のイベントはこちら!

EnterpriseZine編集部ではイベントを随時開催しております

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine Press

次世代プライバシー強化技術「ゼロ知識証明」、なぜ今注目されているのかをデロイトトーマツに訊く

 「ゼロ知識証明」とは、ある人が特定の事柄を証明したいときに、機密情報を明かさずに証明する技術の総称。次世代のプライバシー強化技術として注目されている技術である。その概要と国内で取り組みを強化する理由についてデロイト トーマツに解説してもらった。

 2015年以来、デロイトは世界経済フォーラム(World Economic Forum)と協力し、金融サービス業の変革について提言するレポートを発行している。一連の活動を通して得た知見が、プライバシーと機密性を損なうことなく、データ共有から価値を引き出すことの重要性だという。この相反する要件を満たす次世代プライバシー強化技術の代表例が「ゼロ知識証明(Zero-Knowledge Proof)」である。これはどんな技術なのか。その概要とデロイト トーマツが国内で取り組みを強化する理由について解説してもらった。

デロイト写真

(左)デロイト トーマツ グループ マネジャー 清藤武暢氏
(右)デロイト トーマツ グループ 岸純也氏

データ共有の価値を引き出す次世代プライバシー強化技術

――ゼロ知識証明はどんなプライバシー強化技術でしょうか。

岸:ゼロ知識証明とは、ある人が他の人に特定の事柄を証明したいとき、証明したいこと以外に何の知識も伝えることなく当該事柄を証明する技術の総称です。「ゼロ知識」と呼ぶのは、証明の時に営業機密やプライバシー情報などの証明する人が他者に明かしたくない知識を伝えないことに由来します。この技術を応用すれば、銀行の口座開設などで利用者が個人情報を渡さずに特定の条件を満たすことを証明したり、第三者に委託した計算処理が正しく行われていることを確認したりすることができるのです。

――ゼロ知識証明はいつ生まれた技術ですか。

清藤:実は1980年代中頃に生まれた技術です。この技術は長い間、どんな内容を証明できるか、どんなやりとりをすれば知識を明かさずに証明できるかなどの理論的な研究にとどまっていたのですが、2010年代に入り、暗号資産の取引という実用化の例が登場したことで再び注目を集めるようになりました。特にブロックチェーンやクラウドでのデータ共有では、セキュリティと利便性の両方を確保することが要件として求められます。この相反する要件を満たしながらも、処理時間が実用に耐えうるレベルになったことで、次世代プライバシー強化技術として私たちも注目するようになりました。

――暗号資産の取引増だけがゼロ知識証明に注目が集まる理由ではなさそうですね。

清藤:確かに暗号資産の取引で使われるようになったことで、技術としての知名度が上がりました。これまで理論的な観点から議論されていた技術が、実際に使える技術として市民権を得られたわけですから。でもそれ以上にクラウドでのデータ共有に関する課題を解決できる技術であることを私たちは重視しています。ゼロ知識証明は、複数の組織で情報共有をする際、クラウドを使うことに伴う情報漏洩のリスクなどに対する懸念を払拭できる技術となる可能性を秘めています。

岸:ゼロ知識証明はデロイトがグローバルで重視しているプライバシー強化技術のうちの1つです。日本では、金融サービス業以外に小売業や製造業などが様々なデータコンソーシアムを立ち上げる動きが活発化しており、企業組織を横断してデータ共有から経済価値を得るニーズが大きいと見ています。とはいえ、その際には取り扱うデータのプライバシーとセキュリティを確保することが大きな課題になりますから、私たちもその解決が必要と考えたわけです。

次のページ
なぜ今「ゼロ知識証明」なのか

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
EnterpriseZine Press連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/12924 2020/05/21 15:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング