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週刊DBオンライン 谷川耕一

Workdayが日立ソリューションズと組む理由 パートナーエコシステムに注力し日本市場での拡大を目指す


 あらゆる企業においてデジタル変革人材の確保、育成が求められている。また、新型コロナウイルス感染対策によるテレワークの普及は、分散した新しい働き方への変化を加速している。新しい分散した働き方の中でいかに社員を把握し、パフォーマンスを発揮できるようにするかが、企業の新たな課題だ。そのため、企業における新しい人材管理ソリューションにも注目が集まっている。

Workdayが日立ソリューションズと手を結ぶ理由

 人材管理ソリューションは国内外にさまざまなものがあり、中でもグローバルで大きな実績があるのがWorkdayだ。Workdayは、もともと人事管理に強みがあるERPパッケージベンダー「PeopleSoft」の創業者 デビッド・ダフィールド氏が、2005年に設立した。PeopleSoftがOracleに敵対買収され、同社を飛び出したダフィールド氏がクラウドネイティブなERPのサービスを提供する企業を創業した。日本法人は2013年から活動を開始し、当初はグローバルで活動する日本企業が海外拠点でWorkdayをいち早く採用し、それを日本にも展開する利用が多かった。その後は徐々に認知度も向上したが、直販のビジネスモデルかつグローバルな大規模企業を対象としていたこともあり、SIベンダーが鍵を握る日本市場では顧客数を一気に伸ばせていなかった印象もある。

 そんな中、2019年6月に日本IBMと日本国内における販売パートナー契約を締結した。これにより、日本IBMがWorkdayの人財管理のSaaSである「Workday Human Capital Management(HCM)」の販売、導入サポートを日本国内で開始。IBMはグローバルでは既にWorkdayのパートナーであり、遅ればせながら日本でも展開した形だ。

 さらに2020年8月には、日立ソリューションズとも協業を開始する。新たに日本ローカルのSI企業と協業に至った背景としては「日本においてエンタープライズ企業の人財管理に対する考え方が変化してきたからです」と、Workday APJプレジデントのデビッド・ウェブスター氏は言う。最近は日本の大手企業が、従業員とのエンゲージメントや社員の健康、幸せ、モチベーションを重視しており、顧客の満足度と同様、従業員の満足度向上がビジネスの成功に大きく影響を及ぼすと認識し始めた。

<p>Workday APJプレジデント デビッド・ウェブスター氏</p>

Workday APJプレジデント デビッド・ウェブスター氏

 結果、Workdayのようなサービスを用い、企業内の人財管理を変革する動きが生まれている。加えてコロナ禍で、ワークスタイルも大きく変わっている。コロナ禍以前から、日本政府が働き方改革を推進していた。これらさまざまな追い風で「Workdayと日立ソリューションズの協業に、多くの市場チャンスがあると考えたのです」とウェブスター氏は言う。

 日立ソリューションズでは、大企業を中心に1300社以上に導入実績がある人事総合ソリューション「リシテア」を展開している。これは人事部門の給与処理などの業務に関わる「System of Record」領域のソリューションだ。リシテアの顧客からよりモダンな「人財管理(ワークフォースマネージメント)」を実現したいとの要望があり、それに応えるためにリシテアとWorkdayの連携を日立ソリューションズでは考えた。「今後は日立ソリューションズがまずはリシテアのユーザーにWorkdayを販売し、Workdayの実装、リシテアとの連携でも協業します」とウェブスター氏は言う。

 グローバルなレベルで人財の管理ができるのがWorkdayの強みであり、日立ソリューションズとの協業でまずはグローバル化を目指す企業をターゲットにする。もう1つの対象が、クラウドネイティブなサービス企業などだ。クラウドを中心にアジャイルにものごとを進めている企業は、自社のサービスはもちろん、利用する人財管理のようなサービスも拡張できるようにしたいと考える。そのためクラウドネイティブで、今後急激に成長したいと考える企業はWorkdayのターゲットとなるのだ。

 既に一定の成功を収めていて、今後新たな戦略の展開を考えているところもターゲットだ。新しい戦略を展開するには、そのための人財を確保し、適材適所に配置する必要がある。人財が足りなければ、育成も必要だ。これらにはWorkdayが有効なのだ。

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会計管理にも注力し新しいリーダーのもと日本企業の成功にフォーカスする

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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