コンバージド・データベースの優位性
「データベースの話をするのはすごく久しぶりで、ちょっと緊張している」と話し始めたのは、2020年12月1日に出戻りで日本オラクルの執行役 社長に就任した三澤智光氏だ。Oracle Databaseは「思い入れの強い製品だけに、私が直接これについて話をしたい」と言う。三澤氏はまず、Oracle Databaseがコンバージド・データベースであることの優位性を説明した。以前は目的別のガジェットを持ち歩いていたが、iPhoneの登場以降、ガジェットの機能は全てこれに統合され使い勝手も統一化された。その上、バックアップなどのオペレーションも自動化された。このような大きなイノベーションが、コンシューマITの世界で起きた。
一方データファイルはどうか。以前からのリレーショナルデータベースで扱ってきた構造化データがあり、さまざまな非構造化データも扱うようになった。多様なデータを扱うために、データタイプごとに別々のファイルシステムが登場している。これはたくさんのガジェットを持ち歩いていたのと似たような状況だ。結果的にデータを扱うためのアプリケーションの開発、運用管理、可用性、セキュリティの確保といったことをシステムごとに考えなければならないと三澤氏は言う。
自社内に何万人もの開発者がいる企業であれば、このような多様な仕組みを構築し運用することもできるかもしれない。現実はそう簡単ではない。「目的別のファイルシステムの時代から、今後は何が必要になるのか。不便さやデータのフラグメンテーションをなくすためには、スマートデータベースが必要になると、Oracleでは考えています」と三澤氏。このスマートデータベースが、Oracle Database 21cであり、1つのデータベースでさまざまなデータタイプが扱える。その上で統一化された開発、運用、セキュリティの担保ができると言う。
「これをOracleではコンバージド・データベースと呼び、目的に応じたシングルのデータファイルをシングルインターフェイスで運用できます。このコンバージド・データベースをOracle Cloudから自律化、自動化して提供します。目的別のデータベースとコンバージド・データベースでの違いは一目瞭然です」(三澤氏)
複数のデータタイプのデータを使ったアプリケーションでは、目的別のデータベースが複数運用することとなり、それぞれをETLなどでつないでインテグレーションする必要もある。この仕組みを構築しメンテナンスをする手間は大きく、アプリケーション側からすればその手間は必要ないものだ。これがコンバージド・データベースであれば、使うのはOracle Database 1つで済み、メンテナンスやセキュリティの確保なども統合化できる。さらにデータファイルがばらばらであれば、それぞれでデータの不整合も発生するため、そのデータを使って分析し、結果をビジネスの意思決定に使うべきではないとも指摘する。