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LinkedInは日本でなぜ流行らないのか? ビジネス向けSNSの不在からプロフェッショナリズムを考える

edited by DB Online   2021/05/07 10:00

 今回は、プロフェッショナリズムを、LinkedInの普及状況から考えてみたいと思います。33年以上にわたりB2BのITビジネスにかかわり、現在はクラウドERPベンダーのインフォア(Infor)のマーケティング本部長の北川裕康氏が本音と洞察で業界動向を掘る連載。

 今回は、プロフェッショナリズムを、LinkedInの普及状況から考えてみたいと思います。プロフェッショナリズム、短縮してプロは、Wikipediaを見ると、名詞としては次のような意味があります。

  • profession(=「専門的な仕事」)に従事している人や、専門的な仕事で評価を得ている人。
  • 特定の分野に従事している人で、その中でも特に、(「ひまつぶし」としてではなく)主たる収入を得る生業(なりわい)としてそれに従事している人。
  • 特定の活動に関して能力が高く、技能に優れる人。

 なるほどですよね。「ひまつぶし」で仕事をしている羨ましい人は少ないとは思いますが。

 海外では、このプロのビジネス向けソーシャルメディアとして、LinkedInが広く活用されています。要するビジネスのプロが使うSNSなのです。多くの企業が社員の名刺にLinkedInのアドレス情報を書いているほどです。そして、LinkedInは、Facebookなどの個人ネットワークのソーシャルメディアとは平行で使われています。先日、LinkedInに、私のギターコレクションの写真を上げると反響がすごく、5千以上の閲覧がありました。世界でつながる凄さを感じました。

 一方で、日本は、ビジネスでもFacebookで繋がることが多いと思います。私もFacebookでは多くのビジネス上の知人と繋がっています。ただ、Facebookは繋がりがメインで、ビジネスのことを頻繁に発信するとウザいと思われます。

 日本ではLinkedInは、まだまだ転職用のサイトという認知になっており、200万人程度のアクティブユーザーしかまだ獲得できてないようです。いまだに、転職しないから関係ないと思っている人が、ほとんどではないかと想像します。私はLinkedInを使いますが、それは、海外の有力な情報の獲得と、関係者間の連絡網程度の効果しかありません。私は、現状ではそれ以上は期待していません。

 LinkedInの使われ方は、色々あると思います。1つが、プロフェショナルネットワークに参加して、そのエリアでの最新の情報を獲得する、発信するということです。例えば、マーケティングの世界の権威が、積極的に情報発信をしていますので、ブランドやAccount Based Marketingなどのトレンドを知ることができます。サプライチェーンなんかも貴重な情報があります。英語に問題なければ、とても有効な情報元になります。それを求めて、多くのビジネスプロがLinkedInに参加するのです。もちろん、転職目的もあると思います。ちなみに、グローバル企業の採用ソースは、LinkedIn、社員紹介、自社Webサイトになっており、リクルータ経由は減ってきています。

 また、企業のメッセージ発信を見ると、グローバル企業のCEOやその直接のC Levelの人たちが自らLinkedInで発信しています。これは、ブランド形成にはとても大事で、企業の戦略やエンゲージメントを高めることができると思います。残念ながら、LinkedInに関わらず、日本の大手企業がソーシャルメディアを使ったメッセージ発信するのは稀で、インタビューなどのPRに頼っているのではないでしょうか。

 そしてもう1つが、LinkedIn Navigatorを使ったソーシャルセリングがあります。これは有料サービスですが、自社がターゲットにした顧客を、膨大なLinkedIn内の情報から検索して、その顧客コンタクトにLinkedInからビデオなどを駆使しながらコンタクトすることができます。私も何度もこのトレーニングを受けたことがあります。また、Zoominfo(Zoomとは別)というSaaSサービスも普及しており、顧客情報の管理や見込み客リストの自動作成、メールの開封率やサイトの滞在時間などの分析など、さまざまな機能を備えています。Zoominfoは、日本企業の情報も入っていますが、公開情報のみで、残念ながらメールアドレスはほとんどでたらめなものが入っている感触です。

 なんと、英語圏では、見込み顧客のコンタクトは、お金を出せば簡単に入手できるのです。飛び込み営業とか、電話番号がない方に電話するコールドコールというのは、ほぼ死語になっています。ITでは、顧客がどのようなアプリケーションを導入しているかの情報まで買えます。うらやましい限りです。

 その結果、最近ではリクルータより、BDR(Business Development Representative)という役割の人たちが、アポを求めてLinkeInを彷徨ってきています。以前、私もこのBDRを担当していたことがありますが、コンタクトがいっぱいくるので、今はちょっと迷惑です(苦笑)。


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著者プロフィール

  • 北川裕康(キタガワヒロヤス)

    クラウドERPベンダーのインフォア(Infor)のマーケティング本部長。33年以上にわたりB2BのITビジネスにかかわり、マイクロソフト、シスコシステムズ、SAS Institute、Workdayなどのグローバル企業で、マーケティング、戦略&オペレーションを担当。その以前は富士通とDECでソフトウェア技術者。マーケティング、テクノロジー、ビジネス戦略、人材育成に興味をもち、日々格闘中。

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