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LinkedInは日本でなぜ流行らないのか? ビジネス向けSNSの不在からプロフェッショナリズムを考える

edited by DB Online   2021/05/07 10:00

 それでは、LinkedInは、なぜ日本で普及しないのでしょうか? Linkedinを買収したマイクロソフトが努力不足でしょうか?  日本の企業おいて、中途採用がまだまだ多くないというのも原因かもしれません。それらもあるかもしれませんが、原因はそれ以外にあるのではないでしょうか。

 企業の情報発信の違いもありますが、日本のプロフェッショナリズムに起因しているのだと思います。簡単にいうと、日本ではプロが少ないのです。日本のDXの原因で問題になっていますが、社内に何かを内製できるようなプロが少ないのだと思います。内製できるということは、詳細な技術やビジネス知識が必要になりますから。それは、発注の仕組みが長年にわたり浸透している弊害だと思います。エンドの顧客は、業務遂行に必要な大部分を外部の専門業者に発注し、発注先はそれをこなす。発注者は外注管理をする。これでは知識が分断されますし、発注先では得た知識は秘密保持の関係で公開することはできません。この課題は、ITだけなく、マーケティングや、建設など、色々な分野でみられる光景かと思います。そして、企業内で得たノウハウを外に発信する文化がないのも影響していると思います。

 最近、思うのは、このプロの分野がセルフサービス化しているということです。SaaSのアプリケーションが充実しており、外部に依頼しなくでも、自分でできることが多くなってきています。例えば、私はこの年齢と立場で、最近、ツールを使って、カタログやバナーを自分で作っています。費用もそうですが、スピードが圧倒的に違います。

 また、常に新しいことを取り入れて、仕事をアップグレードしていかなと、他に通用するプロにはなれないと思います。極端な話、新しいことをやって仕事を変えないと、欧米では自分の立場や危うくなりますので、どんどん新しいことを取り入れていきます。ですから、LinkeInに最先端の情報を求めてくるのです。

 そして、欧米では大学で何を専攻するかが大事で、その専攻で社会に出てキャリアを積んでいきます。私ならマーケティングの専攻を本来しておく必要があるのですが、コンピュータ分野でマーケティングをやっていると欧米から見ると奇妙なキャリアを形成しています。ただ、私は色々なことができて楽しいです。

 日本人のプロが積極的に参加すれば、言語の問題もなくなりますので、言語も問題ではないと考えています。

 では、どう改善できるのでしょうか?正直、私にはわかりませんが、プロについては、1つヒントになりそうな実話を述べたいと思います。それは、私の知人が勤めていたある企業での話です。その企業では、社員の給与は時価だそうです。高級寿司じゃあるまいし、時価ってどう決めるの?と疑問がわきますよね。なんと、他社の面接を突破して、内定で提示された金額が時下の給料なのだそうです。絶句ものの、なんと面白い取り組みでしょうか。また、給与の予算は限りがあるので、積極的に副業を認めているとのことです。こういう人事の取り組みをしている企業では、プロが育つかもしれません。プロは、その分野の専門知識、経験、スキルで、他社に移っても同じような給与がもらえ(場合によっては高く)、パフォーマンスを出せる人なのかもしれません。プロ野球やサッカー選手はそうですよね。

 また、以前のリクルート社みたいに、10年勤めたら定年退職して、退職金がもらえるという取り組みも、プロを生むのかもしれません。プロにならないと、その後、食っていけないですからね。ちなみに、私のリクルートの知人は、10年勤めて、退職金を手に、世界旅行に旅立っていきました。環境と意識の問題なのでしょうか。

 今では私は色々なネタで連載などを持たせていただいていますが、もちろん以前はそんな意識はなかったです。そのきっかけは、DECの時でした。DECに入社したときの上司が、今、MBAで有名な名古屋商科大学の北原康富教授で、お客様の先のバリューチェーンを考えて提案したほうがいいとか、このビジネス本を読んだらいいとか、ビジネス戦略については色々とヒントをいただき、当時バリバリの技術者だったのですが、高い意識が芽生えたと思います。やはり、出会いは大事です。



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著者プロフィール

  • 北川裕康(キタガワヒロヤス)

    クラウドERPベンダーのインフォア(Infor)のマーケティング本部長。33年以上にわたりB2BのITビジネスにかかわり、マイクロソフト、シスコシステムズ、SAS Institute、Workdayなどのグローバル企業で、マーケティング、戦略&オペレーションを担当。その以前は富士通とDECでソフトウェア技術者。マーケティング、テクノロジー、ビジネス戦略、人材育成に興味をもち、日々格闘中。

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