今回は、プロフェッショナリズムを、LinkedInの普及状況から考えてみたいと思います。プロフェッショナリズム、短縮してプロは、Wikipediaを見ると、名詞としては次のような意味があります。
- profession(=「専門的な仕事」)に従事している人や、専門的な仕事で評価を得ている人。
- 特定の分野に従事している人で、その中でも特に、(「ひまつぶし」としてではなく)主たる収入を得る生業(なりわい)としてそれに従事している人。
- 特定の活動に関して能力が高く、技能に優れる人。
なるほどですよね。「ひまつぶし」で仕事をしている羨ましい人は少ないとは思いますが。
海外では、このプロのビジネス向けソーシャルメディアとして、LinkedInが広く活用されています。要するビジネスのプロが使うSNSなのです。多くの企業が社員の名刺にLinkedInのアドレス情報を書いているほどです。そして、LinkedInは、Facebookなどの個人ネットワークのソーシャルメディアとは平行で使われています。先日、LinkedInに、私のギターコレクションの写真を上げると反響がすごく、5千以上の閲覧がありました。世界でつながる凄さを感じました。
一方で、日本は、ビジネスでもFacebookで繋がることが多いと思います。私もFacebookでは多くのビジネス上の知人と繋がっています。ただ、Facebookは繋がりがメインで、ビジネスのことを頻繁に発信するとウザいと思われます。
日本ではLinkedInは、まだまだ転職用のサイトという認知になっており、200万人程度のアクティブユーザーしかまだ獲得できてないようです。いまだに、転職しないから関係ないと思っている人が、ほとんどではないかと想像します。私はLinkedInを使いますが、それは、海外の有力な情報の獲得と、関係者間の連絡網程度の効果しかありません。私は、現状ではそれ以上は期待していません。
LinkedInの使われ方は、色々あると思います。1つが、プロフェショナルネットワークに参加して、そのエリアでの最新の情報を獲得する、発信するということです。例えば、マーケティングの世界の権威が、積極的に情報発信をしていますので、ブランドやAccount Based Marketingなどのトレンドを知ることができます。サプライチェーンなんかも貴重な情報があります。英語に問題なければ、とても有効な情報元になります。それを求めて、多くのビジネスプロがLinkedInに参加するのです。もちろん、転職目的もあると思います。ちなみに、グローバル企業の採用ソースは、LinkedIn、社員紹介、自社Webサイトになっており、リクルータ経由は減ってきています。
また、企業のメッセージ発信を見ると、グローバル企業のCEOやその直接のC Levelの人たちが自らLinkedInで発信しています。これは、ブランド形成にはとても大事で、企業の戦略やエンゲージメントを高めることができると思います。残念ながら、LinkedInに関わらず、日本の大手企業がソーシャルメディアを使ったメッセージ発信するのは稀で、インタビューなどのPRに頼っているのではないでしょうか。
そしてもう1つが、LinkedIn Navigatorを使ったソーシャルセリングがあります。これは有料サービスですが、自社がターゲットにした顧客を、膨大なLinkedIn内の情報から検索して、その顧客コンタクトにLinkedInからビデオなどを駆使しながらコンタクトすることができます。私も何度もこのトレーニングを受けたことがあります。また、Zoominfo(Zoomとは別)というSaaSサービスも普及しており、顧客情報の管理や見込み客リストの自動作成、メールの開封率やサイトの滞在時間などの分析など、さまざまな機能を備えています。Zoominfoは、日本企業の情報も入っていますが、公開情報のみで、残念ながらメールアドレスはほとんどでたらめなものが入っている感触です。
なんと、英語圏では、見込み顧客のコンタクトは、お金を出せば簡単に入手できるのです。飛び込み営業とか、電話番号がない方に電話するコールドコールというのは、ほぼ死語になっています。ITでは、顧客がどのようなアプリケーションを導入しているかの情報まで買えます。うらやましい限りです。
その結果、最近ではリクルータより、BDR(Business Development Representative)という役割の人たちが、アポを求めてLinkeInを彷徨ってきています。以前、私もこのBDRを担当していたことがありますが、コンタクトがいっぱいくるので、今はちょっと迷惑です(苦笑)。